大阪府と大阪市は12月4日から27日まで、大阪メトロ本町駅の近くで、ギャンブルやアルコールなどの依存症の相談を無料で受けます。今回は相談の部屋を展示の会場から離し、その場所は予約した人にだけ個別に伝えます。9月の1回目は相談と展示が同じフロアにあり、相談に来た人から、展示を見に来た人もいる中で、もう少し方法はないのかという声が出たと吉村洋文知事は説明しています。

12月の相談は本町で、平日は夜まで

府と市が「実証事業」と呼ぶこの催しは、依存症対策センターを開く前の試しです。センターは、アルコールや薬物、ギャンブルなどの依存に悩む本人や家族を相談の相手に想定しています。2回目の相談は平日が13時から20時30分まで、土日が10時から17時30分までで、話を聞くのは府市の相談員のほか、医師や法律の専門家、民間の支援団体です。

予約は11月20日に、府のおおさか依存症ポータルサイトで始まる予定です。予約なしで来た人にも対応しますが、予約の都合で当日の相談を受けられないことがあると府は断っています。一部の時間帯には、バーチャル空間を使ったオンラインの相談もあります。

12月を待たなくても、話せる場所はあります。府こころの健康総合センターと大阪市こころの健康センターは、この期間中も、ふだんどおり個別の相談と電話の相談を続けます。大阪の外に住む人には、依存症対策全国センターが全国の相談窓口と自助グループを案内しています。

図1 12月の相談、日時と受け方
項目内容
期間2026年12月4日〜27日
相談の場所大阪メトロ本町駅の近く(予約した人に個別に案内)
平日13時〜20時30分(最終予約受付19時)
土日10時〜17時30分(最終予約受付16時)
予約11月20日におおさか依存症ポータルサイトで開始(予定)。予約なしの来場にも対応
相談する人府市の相談員、医師や法律専門家、民間支援団体等
費用無料
展示Osaka Metro本町ビル1階(本町駅直結)

相談と展示を、なぜ分けるのか

1回目は梅田のE-ma1階の同じフロアに展示と相談が並び、2回目は本町ビル1階の展示から歩いてすぐの別の場所に相談所を置き、場所は予約した人に個別に案内する
出典:大阪府 報道発表資料(2026年8月4日・11月4日)、吉村洋文知事 定例記者会見(2026年11月4日)

1回目は9月9日から10月6日まで、繁華街の梅田のE-ma1階で開かれました。現場を見た吉村知事によると、同じフロアの中に、相談のエリアと展示のエリアが並んでいました。展示を見に来た人のすぐそばで、自分の困りごとを話す形だったことになります。

音漏れには配慮していました。それでも相談に来た人からは、展示に来た人もいる中で、もう少し方法はないのかという意見が出たと知事は話します。2回目は相談所を展示の会場から歩いてすぐの別の場所に置き、その住所は公表しないことにしました。場所は予約した人に個別に案内されます。

広さの都合で分けたのかと記者に問われた知事は、それを否定し、「相談場所と啓発場所は分けた方がいい」と答えました。分けたらどうなるかを、この実証事業で確かめるという位置づけです。違うフロアがいいのか、少し離した方がいいのかも、センターをつくるときの参考にするとしています。

1回目は5,061人が来て、121人が相談した

吉村知事は11月4日、梅田で開いた1回目の来場者が5,061人だったと明らかにしました。相談者は121人でした。知事によると、調査では休日や夜間のほうが相談しやすいという声が出て、土日に開いていたから相談できたという回答の割合も高かったといいます。

2回目も平日の夜と土日の受付を続け、知事によれば新たにアバターを使ったバーチャル空間での相談も試します。121人がどの依存症について相談したのか、本人か家族かといった内訳は、まだ公表されていません。知事は具体的な内容は分析中だとし、1回目の成果は11月中旬に発表される予定です。

試しの結果は、来年3月の計画に入る

2026年8月31日の推進会議から、9〜10月の1回目、11月4日の発表、11月中旬の成果発表、11月20日の予約開始、12月の2回目、令和9年3月の基本計画、2029年度中のセンター開設、2030年秋のIR開業予定までの年表
出典:大阪府 報道発表資料、吉村洋文知事 定例記者会見(2026年11月4日)、(仮称)大阪依存症対策センター基本構想、大阪府ギャンブル等依存症対策推進会議 議事概要(2026年8月31日)、読売新聞(2026年11月5日)

府と市の基本構想によると、2回の実証事業を踏まえた基本計画は、令和9年(来年)3月に公表される予定です。読売新聞によると、センターは2029年度中の開設をめざし、2030年秋に開業予定のIR(カジノを含む統合型リゾート)に先駆けて開きます。構想は、交通の便がよい場所の物件を借り、平日の夕方からや休日も開くことを想定しています。

この進め方には、府の会議で異論も出ています。8月31日のギャンブル等依存症対策推進会議では、委員から、IR開業を前提とした施設整備には反対で、IRと切り離した包括的な依存症対策施設にすべきだという意見が出ました。実証事業の計画が固まってから協力を頼まれるという不満もあり、事務局は2回目ではより早い段階から意見を聞くと答えています。

知事は11月4日、2回目は民間団体も含めていろいろな人の声を聞いたうえで開くと述べました。8月の会議で事務局は、1回目と2回目の結果を整理し、課題や改善点も含めて報告すると答えています。そのうち1回目の成果は、11月中旬に発表される予定です。

日本の読者にとって

IRのカジノに日本人が入るには1回6,000円の入場料がかかり、7日間で3回、28日間で10回までに制限されます。一方で、海外で合法的に運営されているオンラインカジノであっても、日本国内から接続して賭けることは犯罪だと警察庁は説明しています。大阪のセンターづくりは、そのどちらの手前でも、困った人が相談の席にたどり着けるかを確かめる取り組みです。

相談窓口

ギャンブルのことで悩んでいる本人や家族は、住んでいる地域の精神保健福祉センターや保健所に無料で相談できる。依存症対策全国センター(ncasa-japan.jp)が、全国の相談窓口と自助グループを案内している。