アミューズメントポーカー店で、勝ち負けに応じてお金に換わるものを受け取る遊び方は賭博にあたり得て、そのときは店だけでなく客も罪に問われます。東京・新宿で10月下旬に摘発されたポーカー店では、客7人も賭博の疑いで現行犯逮捕されました。警察庁は業界への講話で、「選手契約」などと呼び方を変えても取締りの対象になり得ると示しています。

客も罪に問われるの?

ポーカー賭博の摘発5件で、店・主催者側と客の逮捕・検挙人数を並べた棒グラフ。どの件でも客が賭博罪で問われている
図版:ポーカー賭博の摘発で逮捕・検挙された人数。出典:警察庁生活安全局保安課「ゲームセンター等営業に関する法令遵守のお願い」(2026年10月23日)、産経新聞(2026年10月27日)

問われることがあります。新宿の件で警視庁は、店側の5人を賭博開帳図利の疑いで現行犯逮捕しました。賭博開帳図利とは、賭けの場を開いて、そこから利益を得る罪のことです。そして同じ現場にいた20〜40代の男性客7人も、賭博の疑いで現行犯逮捕されています。

客に向くのは、刑法の賭博罪です。罰は50万円以下の罰金などと定められています。賭けの場を開いた店の側には、より重い罪が向きます。遊びに来ただけのつもりでも、お金に換わるものを賭けた勝負に加わっていれば、客も同じ事件の当事者として扱われることになります。

警察庁が10月23日の講話で示した過去の事件を並べると、このことがよくわかります。2023年からの事件では、主催者とともに、賭けた客14人が賭博罪で逮捕されました。2025年の事件でも、賭けた客が賭博罪で逮捕や検挙をされています。示された事件のどれにも、客が含まれていました。

図1 客にも店にも、それぞれ罰がある
誰にどの法律罰
賭けに加わった客刑法第185条(賭博罪)50万円以下の罰金または科料
賭けの場を開いて利益を得た店側刑法第186条第2項(賭博場開張図利罪)3月以上5年以下の拘禁刑
結果に応じて賞品を出した店風営法第23条第2項・第53条6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、またはその両方

何をもらうと、だめなの?

ポイントや金券などは賞品にあたり、賞状やトロフィーは直ちに制約されないことを示す図
図版:賞品にあたるもの、直ちに制約されないもの。出典:日本ポーカー事業者連盟・日本ポーカー振興協議会「アミューズメントポーカー店舗運用ガイドライン」(2026年10月31日)、警察庁の講話資料(2026年10月23日)

ポーカー店は、法律の上ではゲームセンターと同じ扱いです。店を開くには、原則として都道府県の公安委員会の許可が要ります。そのうえで、店の営業を定める風営法は、ゲームの結果に応じて賞品を出すことを禁じています。順位や獲得したチップの数に応じて値打ちのあるものを渡せば、それが賞品にあたります。

業界団体が10月31日に出した指針は、賞品にあたる例を具体的に挙げました。店で使える通貨やポイント、金券や商品券、ゲーム機器、次の参加料を免除するチケットです。預かったチップの代わりに、他の店で使えるポイントをアプリに付けることも、チップの持ち出しとして禁じられるとしています。

一方で、お金に換えられない賞状やトロフィーは、直ちに制約されるものではないと指針は書いています。受け取る側の目安は、手にしたものに値段が付くかどうかだと私は読みました。違反した者には、6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、またはその両方が定められています。

「選手契約」なら大丈夫?

大丈夫とは言えません。読売新聞によると、一部の店は関連する会社などを通して、勝った客に「スポンサー契約」や「選手契約」の名目でお金などを渡していました。こうしたお金の渡し方をめぐって、SNSでは法的にグレーゾーンだという見方が広がっていたといいます。

警察庁の講話の資料は、選手契約など名目を問わず、財物を得ていれば取締りの対象になり得ると書きました。財物とは、お金や品物など値打ちのある物のことです。客の払ったチップ代が勝った人に流れる仕組みは、賭博罪にあたる恐れがあるというのが警察庁の見方です。

2023年からの事件では、獲得したチップに見合う賞金が「競技者支援」の名目で客の口座に振り込まれていました。契約や支援という言葉が付いていても、この事件では賭けた客まで逮捕されています。呼び名を変えても、取締りの対象から外れるわけではないのです。

賞品が出る大会は、すべて違法?

国家公安委員会は2021年、ある事業者が通常の営業と分けて開くと説明したポーカー大会について、風営法の賞品の規制を受けないと回答しています。参加料を運営費用以下にとどめ、参加料を賞品の元手に使わず、参加者を抽選や招待で選ぶ、などの条件をそろえた大会でした。

ただし回答は、大会が営利になったり、通常の営業との区分が失われたりすれば、この限りではないと付け加えています。警察庁の講話の資料も、参加料の合計が設営費用として妥当な額を上回れば営利とみなすとしました。いくつもの条件がそろって、初めて規制の外とされた例です。

なぜいま、ルールが示されたの?

違法の疑いがある営業が広がっていると指摘されたためだと、読売新聞は伝えています。警察庁によると、都内のポーカー店は約220店あり、その約9割が2021年以降に営業許可を受けた新しい店です。読売新聞は、店のウェブサイトが、スポンサーからの賞金があると宣伝していた例も紹介しています。

警察庁は2026年7月、公式Xで「賭博は犯罪」と投稿し、閲覧数は300万回を超えました。その後、業界の2団体には加盟店から、禁止されることを整理してほしいという問い合わせが相次いだといいます。10月31日の指針は、行政の承認を受けたものではないと団体自身が断っています。

日本の読者にとって

勝てばお金になる場に誘われたら、それが選手契約と呼ばれていても、客として罪に問われる側に立ちうると覚えておいてください。ご自身やご家族が、やめたいのにやめられないと感じたら、ひとりで抱えず、保健所や精神保健福祉センターに相談できると厚生労働省は案内しています。

相談窓口

ギャンブルのことで悩んでいる本人や家族は、住んでいる地域の精神保健福祉センターや保健所に無料で相談できる。依存症対策全国センター(ncasa-japan.jp)が、全国の相談窓口と自助グループを案内している。