ここがポイント

  • 判決は11月25日(新潟日報)。罷免なら刑の猶予期間が過ぎても裁判官・弁護士の資格は戻らない
  • 刑事裁判では懲役3年、執行猶予4年の有罪が確定している
  • 日本から海外のオンラインカジノで賭けることは犯罪。2025年の検挙は165事件、317人

オンラインカジノの常習賭博などで有罪が確定した新潟簡裁の森本暁史判事を辞めさせるかどうか、国会議員でつくる裁判官弾劾裁判所が11月25日に判決を出すと、新潟日報が報じました。罷免されると、執行猶予の期間が明けても、裁判官にも弁護士にも原則として戻れません。訴追した国会側の上川陽子委員長は、刑事裁判で犯罪が認定された裁判官の弾劾は過去4件、すべて罷免だったと指摘しました(弁護士ドットコム)。

何が裁かれているのか

共同通信によると、秋田地裁は7月23日、森本判事に懲役3年、執行猶予4年の判決を言い渡しました。国家公務員合同宿舎の共益費を着服したことと、オンラインカジノでの賭博を繰り返したことなどが罪に問われました。テレビ朝日系ANNによると、この判決はその後確定し、刑事裁判は終わっています。

それでも、裁判官は有罪が確定しただけでは職を失いません。辞めさせるには、国会議員がつとめる弾劾裁判所の裁判が要ります。訴追委員会は9月10日に訴追を決め、常習賭博など3つの罪が、裁判官弾劾法2条2号の「威信を著しく失うべき非行」にあたると主張しています。

10月28日の第1回公判で、森本判事は訴追の内容を争いませんでした。テレビ朝日系ANNによると、最後に「私のしでかした愚かな行為でこのようにご迷惑を掛けて申し訳ございません」と謝罪し、弁護士ドットコムによると「罷免を受けるのは当然だと思います」とも述べています。弾劾裁判所の公式ページは11月1日時点で、次の公判の期日を未定としています。

罷免されると何が変わるか

罷免の判決が言い渡されると、森本判事はその場で裁判官ではなくなります。拘禁刑以上の刑を言い渡された今も、裁判所法と弁護士法の規定で、裁判官に任命されず弁護士の資格もありません。刑法では、執行猶予が取り消されずに期間が過ぎれば刑の言い渡しは効力を失いますが、罷免の裁判を受けた人は同じ規定の別の号で外され、資格は閉ざされたままです。

ただ、道がまったくなくなるわけではありません。裁判官弾劾法は、罷免の宣告から5年がたち相当の理由があれば、本人が資格回復の裁判を求められるとしています。一方で、訴追された裁判官は、自分から辞めると願い出ても、判決が出るまでは辞めることができません。

弾劾裁判所はこれまでに罷免の訴追を10件判断し、訴追委員会の一覧では罷免が8件、不罷免が2件です。賭博を理由にした例はありません。テレビ朝日系ANNによると、上川陽子・訴追委員長は「極めて大きい国民の信託に対する背反であり、著しい非行と評価されるべき」と、罷免が相当だと主張しました。

図1 罷免されると、資格は猶予期間のあとも閉じたまま
いま(拘禁刑の有罪)罷免の判決のあと
根拠裁判所法46条1号、弁護士法7条1号裁判所法46条2号、弁護士法7条2号
いつまで執行猶予の期間が取り消されずに過ぎれば、刑の言い渡しが効力を失う(刑法27条)資格回復の裁判で認められないかぎり続く
戻る道猶予期間の経過宣告から5年たてば資格回復の裁判を求められる(裁判官弾劾法38条)

借金から始まった、と陳述された

10月28日の公判では、訴追委員がこれまでの経緯を順に述べました。テレビ朝日系ANNによると、クレジットカードの支払いに困って海外FXを始めたものの借金が増え、さらに元手を増やそうとオンラインカジノでの賭博や横領に進んだ、という内容でした。

時事通信によると、訴追委員は、賭博が執務時間中を含めて半年間で6万回以上にのぼったと指摘しました。弁護士ドットコムによると、森本判事は発覚への不安を感じながらも賭博をやめられなかったと振り返り、「私は立場上、破産もできません。お金を払わないといけない状況で、払わないとこのまま生きていけないと思い込んでいました」と述べました。弁護士に相談することもなかったといいます。

日本から賭ければ犯罪、困ったときの相談先

警察庁は、海外で合法的に運営されているオンラインカジノでも、日本国内から接続して賭けることは犯罪だとしています。2025年のオンライン上の賭博事件の検挙は165事件、317人で、前の年より事件数が103件、人数が38人増えました。賭けた側の利用者も、罪に問われています。

賭けや借金が自分や家族の手に負えなくなったと感じたときは、早めに外の窓口を使えます。依存症対策全国センターのサイトでは、全国の依存症の相談窓口と医療機関を探せます。どこに話せばよいか迷ったときは、いちばん近い窓口を一つ選んで連絡するところから始められます。

日本の読者にとって

裁判官でも、日本からオンラインカジノに賭ければ刑事罰を受け、職と資格まで失いかねないことを、この裁判は示しています。森本判事は、立場上破産もできないと思い込み、弁護士に相談しなかったと述べています。手に負えないと感じたら、依存症対策全国センターのサイトで近くの相談窓口を探すことが最初の一歩になります。

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相談窓口

ギャンブルのことで悩んでいる本人や家族は、住んでいる地域の精神保健福祉センターや保健所に無料で相談できる。依存症対策全国センター(ncasa-japan.jp)が、全国の相談窓口と自助グループを案内している。

出典

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