• アナリストがディラーのピープル・インクによる買収でMGMの日本やマカオの権益が売却される可能性が「ゼロではない」と指摘
  • MGMチャイナがパズルの興味深いピースとなっている
  • MGM大阪が2030年の開業予定となっている

バリー・ディラー氏率いるアイ・エー・シー(NASDAQ: IAC)によるエム・ジー・エム・リゾーツ・インターナショナル(NYSE: MGM)の買収が成功した場合、買収側はMGMチャイナの持ち分や、日本で計画されている統合型リゾートの売却を検討する可能性がある。

そのような見方は、シーポート・リサーチ・パートナーズのビタリー・ウマンスキーが新たなレポートの中で提示したものである。セルサイドのアナリスト仲間と同様に、アイ・エー・シーによるMGMへの1株当たり48.30ドル(約7,700円)、買収総額180億ドル(約2.9兆円)の提示額は低すぎるという点でウマンスキーの意見も一致している。その評価損の背景には、買収側がMGMチャイナやMGM大阪を十分に評価していない可能性がある。

ウマンスキーは、「MGMの買収が成立した場合、アイ・エー・シーがMGMチャイナ(および潜在的にはMGM日本)の保有権を手放す方向を模索する可能性が一定程度あると我々はみている」と言及している。

ラスベガスを拠点とするこのカジノ事業者は、マカオでMGMコタイとMGMマカオの2つの統合型リゾートを運営するMGMチャイナの56%を保有している。ディラー氏の率いるメディア企業は、MGMのアジアにおける権益のいずれかを売却する計画について公に明らかにしていない。

MGMのマカオおよび日本における権益の価値算定

簡易的な計算によると、マカオ事業におけるMGMの56%の持ち分は30億4000万ドル(約4,856億2,000万円)の価値がある。MGM大阪の89億ドル(約1.4兆円)という総事業費に基づくと、米企業による40%の持ち分は35億6000万ドル(約5,686億9,000万円)に相当する。

合計すると66億ドル(約1.1兆円)となり、これはディラー氏がMGMに提示している買収額の3分の1を上回る規模である。アイ・エー・シーがMGMチャイナの売却を進めた場合、事業者がマカオへの参入権を獲得することの難しさを踏まえると、買い手候補の層は厚くなる公算が大きい。

ウマンスキーは、「MGMチャイナは、MGMという複雑なパズルピースにおいて興味深い存在となっている」との見方を示している。「同社はここ数年でマカオ市場を大幅に凌駕する実績を残しており、直近の数四半期においても予想を上回る市場シェアを維持している」

売却にあたってMGM大阪の妥当な価値を生み出すことはより困難となるかもしれないが、その理由は単に、同施設の開業が2030年に予定されているためであり、実績が存在しない点を意味した。このことは、将来の買い手が目に見える成果ではなく、将来への期待を購入することになる状況を示唆している。

同アナリストは、メディア企業がゲーミング株のパフォーマンスにいら立ちを覚えている。市場全体に対して同株の割安な魅力をアピールしたいと考えている点を挙げ、アイ・エー・シーがMGM買収に向けて本気であると付け加えた。

注視すべきもう一つの潜在的な取引

ディラー氏によるMGMへの買収提案を受けて、一部のアナリストの間では、同カジノ巨人とEntain(OTC: GMVHY)による折半出資の合弁事業であるベットMGMの行く末が議論されている。ディラー氏も同社もこの件について公に言及していないものの、同氏がMGMの経営権を握った場合、デジタルゲーミング事業の完全な所有権を望むとの見方が強まった。

その見方は多方面において妥当性がある。2021年にMGMがEntainの完全買収を試みた際、ディラー氏はこの取引の一部資金調達に対して前向きな姿勢を見せていた。同社の経営陣には、インターネット関連企業を買収し、それらの事業体をより優位な位置づけで収益性の高い企業へと再生させてきた実績が確立されている。