ウィン・リゾーツ(NASDAQ: WYNN)の株価は、ここ数週間にわたり直近52週安値を更新したのち、複数の要因が重なって年初来で29.23%の下落となっている。

JPMorganのアナリストであるダニエル・ポリッツァー氏が顧客向けに発表した最新のレポートによると、ウィンにとって利益および収益の面で最大の市場であるマカオにおいて、「ワールドカップ後の需要回復は短命に終わったもよう」である。同氏の見方は、中国のカジノ特区における8月のGGRが1.2%減少したことを示すデータによって裏付けられている。

7月に終了したワールドカップは、6月と7月のマカオのGGRの足かせになったと広く受け止められており、大会の終了によって世界最大のカジノ市場に活気が戻るとの一部アナリストや投資家の推測を呼んだ。しかし、そうした期待は現実のものとなっておらず、一部の証券会社からは、8月に見られた低迷が9月にも引き継がれているとの指摘が上がっている。

イラン紛争が依然としてウィン株の懸念材料に

今年に入り、ウィンはアラブ首長国連邦(UAE)のラス・アル・ハイマで同社が展開する総額51億ドル(約7,907億円)のカジノリゾート、ウィン・アル・マルジャン・アイランドの建設において、イランでの戦争が「小規模な遅延」を引き起こすとの見解を投資家に伝えていた。

同社はその後、同施設の開業時期を2027年中盤から後半にかけてとする見通しを示し、これが投資家の懸念を和らげたかにみえたが、その安堵感もつかの間に終わった。ポリッツァー氏によれば、継続するイラン紛争に神経質になっている市場参加者の間では、ウィンのUAE事業に対する意識が依然として高い状態にある。

同アナリストは、イランでの戦争を背景として、ウィン・アル・マルジャン・アイランドの開業スケジュール、開業後の業績、そして立ち上げプロセスにおける潜在的な混乱をめぐり、「重大なリスク」が存在すると投資家が考えていると言及している。

ウィン株に対するUAEプロジェクトの評価は限定的

ウィン株は決して割安水準ではない

ウィン株は過去1ヶ月間で17%近く下落しており、バリュエーションの観点から大幅な割安状態にあることが示唆されるものの、特段の割安感は見出せない。ポリッツァー氏によると、同ゲーミング株の予想2027年EV/EBITDA倍率は9.7倍となった。これは3年平均の9.8倍をわずかに下回る水準にとどまる。

マカオ市場は引き続き同株の重荷となっている。CLSAが今週初めに発表したレポートでは、来年のマカオのGGR増加率がわずか2.4%にとどまるとの見通しが示された。

同調査会社は、「ワールドカップ終了後のマカオのGGRや来訪者数には目覚ましい回復が見られたものの、2026年夏の低水準の反動(ワールドカップの影響)やVIPの勝率の平均回帰といった循環的要因がある一方で、現在の収益ペースから一段の成長を牽引するほどマクロ環境が強固であるとは考えていない」との見解を示している。