報じられた一連の事案は、これまでPolymarketに関連する刑事訴追をわずか2件にとどめていた連邦当局による取り締まりを、さらに拡大させるものとなる。
連邦当局は予測市場における取引への監視を強めており、軍事イベントに関する契約や企業収益への賭けを対象とした新たな捜査が進んでいる。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、マンハッタンおよびワシントンの連邦検察当局は、商品先物取引委員会(CFTC)と連携して捜査に関与してきた。新たに判明した2件の事案については、今秋にも起訴される可能性がある。ただし、当局は最終的な起訴の判断には至っていないとの見方が強い。
今回の捜査は、今年初めに提起されたPolymarketを巡る2件の刑事事件に続くものである。当該事件の被告らは、予測市場取引に対する連邦の詐欺防止法の適用について異議を唱えている。
軍事作戦と企業収益に広がる新たな事案
新たな捜査の一つには、イランおよびベネズエラでの軍事攻撃に関連する契約で100万ドル(約1億5,974万円)以上の利益を得た疑いがある米軍関係者が含まれた。
この軍関係者は春先から当局の監視下に置かれていたとみられる。当局は、軍事作戦に関連する契約を取引した他の軍関係者についても調査を行ってきた。軍事作戦に紐づく契約はCFTC登録プラットフォームでは取り扱われていないが、本来米国内からの利用が制限されているはずのPolymarketの国際プラットフォームでは提供されている。
また、世界的な会計・コンサルティングファームであるKPMGの従業員を対象とした別の捜査も進行中だ。
当局は、職務を通じて重要非公開情報にアクセスできた可能性がある当該従業員が、特定の公開企業が四半期決算でアナリストのコンセンサス予想を上回るか否かについて取引を行ったか否かを精査した。なお、同紙は関与した予測市場プラットフォームの名称を明らかにしていない。
司法省とCFTCが他に何人のトレーダーを捜査し、起訴を検討しているのかは依然として不透明である。
こうした新たな立件の可能性は、予測市場における不審な取引に対する広範な監視の強化を背景としている。KalshiとPolymarketは今年、合計で数十人のトレーダーを当局に通報したが、連邦レベルでの執行措置に至ったケースは比較的少ない。
別個の捜査として、元ホワイトハウスのテレプロンプター操作担当者であるガブリエル・ペレス氏の事例が浮上した。ペレス氏はドナルド・トランプ大統領の演説に関する事前情報を利用し、Kalshiの契約取引で10万ドル(約1,597万円)以上の利益を得たとされる。連邦検察当局は刑事訴追を見送ったと報じられている一方、CFTCは民事上の和解の可能性について協議してきた。当局は現時点で、本件に関するいかなる執行措置も発表していない。
同様の懸念は米国外でも表面化している。イスラエルでは、軍事作戦に関する機密情報や重要情報に関わるPolymarket取引の疑いで、当局が複数の軍関係者を逮捕または起訴した。
既存のPolymarket関連事件は法廷闘争へ
今回の新たな立件の可能性は、すでに注目を集めているPolymarketのインサイダー取引に関する2件の刑事訴追に続くものとなる。
4月、検察当局は米陸軍兵士のギャノン・ケン・ヴァン・ダイク氏を起訴している。同氏は機密情報を利用し、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の退任に関連するPolymarketの契約から40万ドル(約6,390万円)以上の利益を得た疑いが持たれている。
ヴァン・ダイク氏は無罪を主張しており、事件の棄却を求めている。同氏は、Polymarketの契約が商品取引法に基づくスワップ取引に該当するという政府側の主張に対し、異議を唱えた。
もう一つの事件では、連邦検察当局がGoogleのソフトウェアエンジニアであるミケーレ・スパニュオーロ氏を起訴した。検察側は、スパニュオーロ氏が機密情報を利用し、Googleの「2025年に最も検索された人物」に関連するPolymarketの契約取引で約120万ドル(約1億9,169万円)の利益を得たと主張している。
スパニュオーロ氏も無罪を主張しており、同様に政府の法的論理に異議を唱えている。同氏の裁判は公判に向けた手続きが進んでいる。
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