|更新日: 2026年10月18日|読了目安 約10分

ここがポイント

  • 2026年時点で予測市場を所管する日本の規制法はなく、賭博罪該当のリスクが高い。
  • 自民党議連が勉強会を開くが、本格的な制度化検討の前段階にとどまる。
  • 国内暗号資産交換業者は予測市場関連の入出金に対し口座停止措置を警告している。

Polymarketの開発者向け文書に、規制を理由とする利用制限対象国として日本が追加されたのは2026年5月のことだ。暗号資産を用いた取引所モデルは、現行の日本法制において金融商品取引法上の取引と認められるのか、それとも刑法第185条の賭博罪が適用されるのか。

刑法第185条と口座停止措置が示す国内の線引き

刑法第185条は、賭博をした者を50万円以下の罰金または科料に処すると定めている。賭けた当事者自身が刑事責任を問われる。海外事業者が外国で認可を受けていても、日本国内から金銭を投じれば賭博罪の適用対象となる。

弁護士の大橋卓生氏は、選挙やスポーツの結果に金銭や換金可能な価値を投じて利益を得る予測市場について「日本では賭博罪に該当するリスクが高いと考えられます」と述べた。暗号資産を媒介させた場合でも賭博罪の論点は消えず、資金決済法などの規制が追加される。

実務上の締め付けは資金移動の出入口で進む。暗号資産交換業者のビットバンクは2026年6月15日、予測市場の利用について賭博行為に該当する可能性があると警告した。関連性が疑われる入出金が確認された口座は、暗号資産の売買や日本円出金を含む全機能が停止される。

金融庁が示した慎重姿勢と不透明な取引実態

「いわゆる賭けの対象になるような予測市場については、現在金融庁の所管する規制法はございません」。金融庁企画市場局長の井上俊剛氏は、2026年4月21日の参議院財政金融委員会で答弁した。

この質疑は、国民民主党の原田秀一議員が予測市場を経済予測や価格発見市場として活用する考えがあるかを問うたものだ。国会会議録検索システムにおいて、2025年1月から2026年10月までに予測市場の語が出た発言は、この財政金融委員会の一連の答弁のみである。

井上氏は、金融商品取引法等の保護法益との関係や賭博罪との関係に加え、イラン侵攻をめぐるインサイダー取引疑惑報道などを挙げ、取引所の第三者検証機能に対する不透明感を理由とした。市場の検証機能には米市場でも疑問が出ている。Kalshiのイーサリアム無期限先物では、特定の6つの金額に総取引額の55.9%にあたる98.1億ドルが集中した。米商品先物取引委員会(CFTC)が調査を進めるなど、取引所の内部管理には実証上の課題が残る。

3つの数字でつかむ

  • 3回金融庁の局長が2026年4月21日の国会で「極めて慎重に対応する必要がある」と述べた回数
  • 約240億ドル2社を合わせた月間の出来高(2026年4月、想定元本)2025年9月は50億ドル未満
  • 80%Kalshiの出来高に占めるスポーツの割合(2024年7月以降)

米欧の法執行と金融派生商品の境界線

米国では、KalshiとPolymarketの2社を合わせた月間出来高が、2025年9月の50億ドル未満から2026年4月には約240億ドルへ急膨張した。出来高は1契約を額面の1ドルで数えた想定元本である。

CFTCはイベント契約をスワップとして分類し、指定契約市場で監督下に置こうとした。デリバティブ取引の処理や顧客資金の保管を可能にするFCMライセンスの申請をブロックチェーン・ドットコムが行うなど、金融機関の参入も見られる。だが米司法省とCFTCは2026年4月、機密情報を用いて約3万3,034ドルを賭け約40万9,881ドルの利益を得た陸軍兵士をインサイダー取引で起訴および提訴した。

フランスの国家賭博庁は2026年7月にPolymarketへの接続遮断を命じ、韓国当局もサイト遮断を経て警察が利用者26人を賭博罪で立件した。英国の賭博委員会も、現行の予測市場の商品は賭博ではない商品に分類できないとの見解を示している。

自民党議連の勉強会と合法化に向けた制度設計

日本の制度化を巡る議論は発足したばかりだ。自民党のデジタル先端金融議員連盟は2026年9月、予測市場を検討テーマに設定した。会長の平将明衆議院議員は、Kalshi幹部の10月下旬の来日に合わせて議連で勉強会を開く方針を示したが、党関係者の説明では本格検討の前段階にとどまる。

予測市場の国内展開を狙う海外資本の動きもある。Polymarketは2026年5月に日本事業の代表を起用し、2030年までに日本政府の承認を得る目標を掲げたと報じられた。しかし金融法委員会が1999年の論点整理でデリバティブ取引への賭博罪適用に法的不確実性を指摘して以来、包括的な法整備はなされていない。

大橋弁護士は、参加者が財産的価値を失わない仕組みであれば賭博罪のリスクは下がると説明する。現にゲーム会社のgumiは2026年6月、お金を賭けずに専用ポイントを用いる無料予想サービスを開始した。換金性を排除した形態を除けば、現行法制の枠内で金銭を扱う市場の組成は極めてハードルが高い。

2026年、日本で起きたこと

  1. 2026年4月21日金融庁の局長が国会で「現在金融庁の所管する規制法はございません」と答弁
  2. 2026年5月10日この日の時点で、Polymarketの文書の制限対象に日本が入っている
  3. 2026年5月22日Polymarketが2030年までの日本政府の承認を目指すと報じられる
  4. 2026年6月15日ビットバンクが、入出金が確認された口座を停止する場合があると告知
  5. 2026年9月17日自民党の議連会長が10月下旬に勉強会を開く方針と報じられる
国会会議録、事業者の告知と文書、報道を日付順に並べた。
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図1 2026年、日本で起きたこと
時期出来事種類
2026年4月21日金融庁の局長が国会で「現在金融庁の所管する規制法はございません」と答弁公的機関の発表
2026年5月10日この日の時点で、Polymarketの文書の制限対象に日本が入っている節目
2026年5月22日Polymarketが2030年までの日本政府の承認を目指すと報じられる報道
2026年6月15日ビットバンクが、入出金が確認された口座を停止する場合があると告知節目
2026年9月17日自民党の議連会長が10月下旬に勉強会を開く方針と報じられる報道

同じ「予測市場」でも、日米で扱いが違う

図2 同じ「予測市場」でも、日米で扱いが違う
米国日本
所管CFTCが専属的な管轄権を主張金融庁の所管する規制法はない
争点州が事業者を提訴し、CFTCが州を提訴。控訴裁判所の判断は割れている賭博と同じではないかという指摘
直近の動き2026年10月9日、スワップの定義に明記する規則案2026年4月21日、国会で答弁

米国では連邦と州が争っている

  1. 2026年4月2日CFTCがアリゾナ、コネチカット、イリノイの3州を提訴
  2. 2026年4月6日第3巡回区控訴裁判所がKalshiの側に立つ判断
  3. 2026年4月28日CFTCがウィスコンシン州を提訴したと発表
  4. 2026年5月18日ミネソタ州で予測市場を禁じる法案に知事が署名
  5. 2026年5月19日CFTCがミネソタ州を提訴
  6. 2026年9月25日第6巡回区控訴裁判所がKalshiの主張を退ける
  7. 2026年10月9日CFTCがスワップの定義にイベント契約を明記する規則案
CFTCの発表と裁判所の判断を日付順に並べた。
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図3 米国では連邦と州が争っている
時期出来事種類
2026年4月2日CFTCがアリゾナ、コネチカット、イリノイの3州を提訴規制
2026年4月6日第3巡回区控訴裁判所がKalshiの側に立つ判断公的機関の発表
2026年4月28日CFTCがウィスコンシン州を提訴したと発表規制
2026年5月18日ミネソタ州で予測市場を禁じる法案に知事が署名規制
2026年5月19日CFTCがミネソタ州を提訴規制
2026年9月25日第6巡回区控訴裁判所がKalshiの主張を退ける公的機関の発表
2026年10月9日CFTCがスワップの定義にイベント契約を明記する規則案規制

出来高に占めるスポーツの割合

Kalshi80%
Polymarket39%
2024年7月以降の出来高に占めるスポーツの割合(%)。Pew Research Centerの分析。
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図4 出来高に占めるスポーツの割合
項目スポーツの割合
Kalshi80%
Polymarket39%

欧州の当局と韓国は「賭博」として扱った

図5 欧州の当局と韓国は「賭博」として扱った
国日付当局がしたこと
ドイツ2025年9月5日現行法で許可を受けられず違法だと警告
英国2026年2月4日賭博ではない商品に分類できないとの見解
オランダ2026年2月17日違法な賭博の提供にあたるとして、運営会社に履行強制金つきの命令
スペイン2026年5月2社の遮断を暫定措置として命令
フランス2026年7月16日接続事業者に遮断を命令
韓国2026年8月18日接続遮断を議決。警察は9月15日時点で利用者26人を賭博罪で立件

機密情報で賭けたとして起訴された兵士

機密情報で賭けたとして起訴された兵士

  • 約3万3,034ドル兵士が賭けたとされる金額
  • 約40万9,881ドル得たとされる利益
  • 2026年4月23日米司法省が起訴を発表し、CFTCも提訴した日

日本の読者にとって

米国の予測市場は金融商品としての規制枠組みを争点とする一方、日本法制下では刑法第185条の賭博罪が直接適用されるリスクが先行している。自民党議連による勉強会が始まったものの法改正の道筋は定まっておらず、現行法下で国内から金銭を投じる利用は資産凍結や刑事責任の負担を伴う。

読者のみなさんへ

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この記事は、読者がよく検索している疑問と当サイトのデータをもとに編集部が企画し、出典に挙げた公式の発表と当サイトの記事、その元の報道だけを根拠に書いたものです。かぎかっこで引いた発言は元の報道にあるもので、発言者を添えています。事実は機械と別のAIが一文ずつ確かめ、編集長役のAIの基準に届いたものだけを公開しています。ギャンブルを勧めるものではありません。