ワールドカップの公式予測市場パートナーであるADI Predictstreetが、取引高を水増しするためにチケットのプレゼントでユーザーを釣り上げているという告発に直面している。多くのユーザーから、同社がチケットの賞品だけでなく、その他のボーナスやプロモーションについても履行していないという苦情が寄せられた。

また、入金処理に時間がかかることや、プラットフォームのサポートチームからの返信がないことも報告されている。

「ADI Predictstreetのサポートチームはメンバーに対して本当にこれほど無関心なのか」とあるユーザーがDiscordに書き込み、入金から4日経過しても反映されていないと不満を漏らした。

同社は機能するプラットフォームを持たないまま、4月にFIFAとの契約を締結した。アラブ首長国連邦の要人である治安当局者タフヌーン・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーンが率いるコングロマリット、インターナショナル・ホールディングの一部となっている。FIFAとの契約締結の直前にジブラルタルでライセンスを取得していた。

プラットフォームへの誘導に向けたチケットの餌

先月ワールドカップが開幕した際、ADI Predictstreetは試合の無料チケットをユーザーに授与すると約束するコンテストを開始している。

「チケットは人々をプラットフォームに呼び込むための単なる餌であった」とフェリックス・モラウグがウォール・ストリート・ジャーナル紙に語っている。暗号資産トレーダーのモラウグは、自身の取引高が1万9000ドル(約308万円)に達し、決勝トーナメントのチケットを獲得できるはずであったと述べた。しかし、チケットを受け取ることはできなかった。

セルビア人のトレーダーであるヴカシン・ペトロヴィッチもチケットに当選したものの、会社側が引き延ばしを続けたと話している。同氏は試合のキックオフの20分前になって、セルビアから約6000マイル離れたヒューストンで行われる試合の電子チケットをようやく受け取った。

プロモーション履行の問題を認める企業

同社はプロモーションの履行に苦戦していることを認めた。

ADI Predictstreetの広報担当者は、「新規参入企業として、プロモーション活動の規模拡大に際して運営上の課題が生じていることを認識しており、賞品の提供プロセスの一部において改善が必要であったことを認める」と述べている。

先週、Discordへの投稿において、「誠実でふさわしいユーザー」に準決勝と決勝のチケットを授与するため、プロモーションの規約を変更していると発表した。

システムを悪用するユーザーが原因であるとし、「紹介報酬の不正獲得や不自然な活動の創出を図り、システムを悪用してポイントを稼いでリーダーボードを駆け上がろうとするユーザーを確認した」と述べている。

さらに、プラットフォームを利用し続けているすべてのユーザーへの報酬に焦点を当て、近い将来に新たなプロモーションを計画しているとした。

入金処理の遅延という問題については、「ウォレットへの資金投入と処理にはしばらく時間がかかる場合がある」と説明した。

ADI Predictstreetが苦戦する一方で躍進するKalshi

Kalshiは、FIFAとのADI Predictstreetの契約における最大の恩恵を受けているとみられる。UAE支援のプラットフォームがプロモーションや多額の取引高の獲得に苦戦する中、Kalshiは同社と提携を結んだ。

米国内では、ユーザーがADI Predictstreetにアクセスしようとすると、Kalshiに誘導される仕組みとなっている。また、試合会場の広告ディスプレイにおいても、予測市場のブランドがADI Predictstreetのブランドと並んで大きく掲示された。

これにより、同事業者はトーナメント期間中に過去最高の取引高を記録するに至っている。6月8日までの30日間で、ユーザーはKalshi上で400億ドル(約6.5兆円)を超える取引を行い、ワールドカップ前の同期間における179億ドル(約2.9兆円)の2倍以上を記録した。

予測市場を取り上げるニュースレターの中でダスティン・ゴウカーが指摘しているように、スポーツイベントおよびコンボやパーレイが全取引高の87%を占めている。

Kalshiは大会前に予測市場パートナーとなるべく、FIFAと直接交渉を試みていた。しかし、サッカーの統括団体は対価として1億5000万ドル(約243億1,000万円)を要求している。KalshiとADI Predictstreetの間の契約条件は明らかにされていない。

ADI Predictstreetとの契約に加え、Kalshiはスポーツベッティング運営会社よりも有利なオッズでユーザーを引き付けている。この巨額の取引高により、無許可のスポーツベッティングプラットフォームを運営していると非難する州の規制当局から、さらなる注目を集めることが確実視されている。