ここがポイント

  • イリノイ連邦地裁は2026年10月にKalshiへの州規制適用を禁じた
  • 事業者はCFTCの独占的管轄権を主張し州の法執行差し止めを要求
  • 巡回区控訴裁判所で判断が割れ法案提出や最高裁での手続きが進行

イリノイ州の連邦地裁は、州独自のギャンブル規制をKalshiに適用することを禁じる判決を出した。CFTCの連邦規制下にあると主張する事業者と、自州の賭博権限を主張する州政府の法廷闘争である。なぜ今、連邦機関と各州の間で管轄権の奪い合いが起きているのか。

事業者が主張する連邦規制の枠組み

イリノイ州の連邦地裁は、州独自のギャンブル規制をKalshiに適用することを禁じる判決を下した。事業者が自らの金融商品を商品取引法に基づく連邦の管轄下と位置づけ、州政府の参入阻害を回避しようとする試みである。

Underdogはテネシー州の賭博法執行を止めるよう連邦地裁へ請求した。同社は米商品先物取引委員会(CFTC)が規制する指定契約市場(DCM)であり、連邦法が優先される立場をとる。

自社の契約はCFTCの管轄下にある商品取引法に基づき、州の賭博ルールは適用されないと訴えている。

無認可営業を理由とする州の介入

州政府側はスポーツイベント契約をライセンスが必要な賭博行為と判断し、規制の網を強めている。税収保護と認可権限の維持が、州側の直接の行動原理である。

13のオンラインスポーツブックを規制するオハイオ州カジノ管理委員会は、ライセンス保有業者に対し無免許の予測市場へのサービス提供を直ちに停止するよう警告した。従わない場合はライセンス停止のリスクが生じる。

同委員会の暫定執行責任者アンドレダ・モリソン氏は「ライセンスを持つスポーツブックが、無免許のスポーツ予測市場にサービスや支援を提供し続けていることについて、深く懸念している」と説明した。ミズーリ州も対象の事業者が21歳未満の利用を許可していると指摘し、停止命令を出した。

裁判所ごとの判断分裂と市場の分断

司法の判断は連邦控訴裁判所の管轄地域ごとに分離した。第6巡回および第9巡回区控訴裁判所ではKalshiの主張が退けられた一方、第3巡回区控訴裁判所は同社の主張を支持した。一致した法解釈が存在しない事態である。

オハイオ州の連邦控訴裁判所は9月にスポーツイベント契約がスワップの法的基準を満たさないとの判決を出し、同州の賭博法執行権限を認めた。これを受けてKalshiはミシガン州の顧客に対してジオフェンシングによるアクセス制限を実施した。同社のCEOは、州による規制が成功すれば業界が米国から撤退する可能性があると警告した。

ポリマーケットは、拠点とサーバーの州内設置を義務付けるオハイオ州の規制を不法な保護主義として提訴した。海外に目を向けるとカナダの規制当局がスポーツイベント契約を明確に禁止している。制度の分断は資本の移動効率を落とす。

連邦議会法案と司法判断の着地点

行政、司法、立法の各域で管轄権の最終決定に向けた動きが揃う。トランプ政権とCFTCが予測市場を連邦規制の下で保護する方針をとるのに対し、議会からの反撃が始まった。2026年8月にもCFTCのマイケル・セリグ委員長が規制案を提示していた。

テッド・クルーズ上院議員は、スポーツ契約を州の権限とし、承認がない運営者の提供を禁じる法案を準備した。同上院議員は「予測市場が州のギャンブル法を回避するための手段と見なしている人が多い。裁判所の判断は分かれており、議会が行動しない限り最高裁判所が決定を下すことになる可能性がある」と説明した。

CFTC自体もイベント契約の定義やカジノ型製品の禁止に関する意見公募を開始した。ミズーリ州裁判所での差し止め請求の決定や、第8巡回控訴裁判所によるアイオワ州案件の決定、そして意見公募を経てCFTCが開示するパブリックコメントの集計結果が次の焦点となる。

日本の読者にとって

米国の連邦金融規制と各州のギャンブル規制による管轄権の争いは、デジタル金融商品の国際展開に影響を与える。日本国内の事業者がデリバティブや予測市場関連サービスを海外提供する際、米国の州ごとの法制が参入障壁となる。カナダのように禁止を明確化する国もあり、法域ごとの対応が必要だ。

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