シーザーズ・エンターテインメントの株主は来月、負債を含め176億ドル(約2.8兆円)規模となる、富豪ティルマン・フェルティッタ氏による同カジノ運営会社の買収案について投票を行う。
9月の株主投票へ向かうフェルティッタ氏による1株31ドル(約4,900円)のシーザーズ買収案
臨時株主総会は9月22日、ネバダ州リノのエルドラド・リゾート&カジノで開催される。8月21日時点でシーザーズの株式を保有していた投資家には、1株あたり31ドル(約4,900円)の現金による買収案への投票権が付与される。ラスベガス・レビュー・ジャーナル紙の報道によれば、承認された場合、シーザーズは株式非公開化され、フェルティッタ・エンターテインメントの傘下に入ることとなる。
シーザーズの取締役会は本件を承認済みであり、株主に対しても賛成を推奨している。レクリエーショナル・エンタープライズ社を通じてシーザーズ株の約4.2%を保有するカラノ家も、フェルティッタ氏の提案への支持を表明した。総会では、本取引に関連する役員報酬のほか、さらなる票数が必要となった場合の延期についても審議される。
今回の投票は、フェルティッタ氏と投資家カール・アイカーン氏による長期にわたる買収合戦を経て実現している。アイカーン氏は1株あたり28.50ドル(約4,500円)で開始し、フェルティッタ氏は当初28.75ドル(約4,600円)を提示していた。最終的に双方が提示額を32ドル(約5,100円)まで引き上げたものの、アイカーン氏は一時的にプロセスから撤退している。
数カ月に及ぶ交渉の末、シーザーズはフェルティッタ氏による31ドル(約4,900円)という低めの提示額を受け入れた。この決定は、対抗買収案を検討する期間中にアイカーン氏が1株あたり34ドル(約5,400円)の拘束力のない提案を再提示したにもかかわらず、下されたものである。
複数州での規制当局による審査を控えるフェルティッタ氏とシーザーズの合併
規制当局への提出書類によると、シーザーズはアイカーン氏の提案の背後にある資金調達構造に懸念を抱いていた。特に同社は、関与するレバレッジの度合いや資金調達の確実性、さらには多額の負債が合併後の事業の財務健全性に与える影響を危惧していた。アイカーン氏とシーザーズは8月10日、合意に至ることなく協議を終了した。
フェルティッタ氏の案件は、数十億ドルの新規与信枠や株式出資を含む異なる資金調達構造となっている。ただし、この契約では、資金調達条件が不利になったという理由だけでフェルティッタ氏が買収を撤回することは認められていない。
買収完了に向けた大きなステップが規制当局の承認である。シーザーズは米国の複数の州に50以上のカジノリゾートを擁しており、本件はネバダ州やニュージャージー州を含む複数の管轄区域でゲーミング規制当局の承認を得る必要がある。フェルティッタ氏はすでにゴールデン・ナゲットの施設を所有し、ウィン・リゾーツの株式も大量に保有していることから、規制当局や独占禁止法当局による監視が強まる公算が大きい。
本取引は、米カジノ業界におけるフェルティッタ氏の立ち位置を大きく変える可能性を秘めている。同氏の現在のホスピタリティ資産にはランドリーズ・レストラン、ゴールデン・ナゲット・カジノ、ヒューストン・ロケッツが含まれ、シーザーズのポートフォリオにはラスベガス・ストリップの8施設に加え、リノ、レイクタホ、アトランティックシティなどの市場におけるリゾートが含まれる。
取引は現時点で2027年5月27日までの完了が見込まれているが、規制当局の承認が得られない場合は延長される可能性がある。また、合併契約には、2027年6月26日までに取引が完了しなかった場合、株主が追加の日次支払いを受け取る権利も盛り込まれている。
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