|更新日: 2026年10月13日|読了目安 約14分

ここがポイント

  • 協議会は2026年9月18日、2025年の日本違法越境市場の規模を約6.4兆円と推計したと発表した。
  • 経済産業大臣の武藤容治氏は2025年3月19日の国会で、導入を「今も検討していない」と答弁した。
  • 時事通信によると、全国の警察が2025年にオンラインカジノで摘発したのは317人で、2018年以降で最多だった。

スポーツエコシステム推進協議会が2026年9月18日に発表した推計では、日本から海外サイトのスポーツ賭博に賭けられた金額は2025年で約6.4兆円だった。2025年の中央競馬の売得金3兆4,853億円より大きい。官房長官は2025年5月の国会で国内からの利用を「犯罪である」と答弁し、経済産業大臣は同年3月の国会で導入を「今も検討していない」と述べた。解禁を誰が検討するのかを、答弁と推計から読む。

約6.4兆円はどれほど大きいのか

スポーツエコシステム推進協議会は2026年9月18日、日本居住者が日本居住者向けの海外サイトを利用することで形成される市場の規模を、2025年で約6.4兆円と推計したと発表した。2024年比では約1.6%の減少である。協議会が推計したのは「年間賭け金総額」で、賭けられた金額の合計にあたる。

発表されている売上と並べると、推計の大きさが分かる。2025年の中央競馬の売得金は3兆4,853億円だった。2025年度のボートレースの総売上は2兆6,658億円、競輪の車券売上は1兆5,487億円で、この2つは速報値である。協議会の推計は、このどれよりも大きい。

ただし、公営競技の数字は発表された売上で、協議会の数字は推計である。協議会は2024年分の推計について、「業界最大手の海外データプロバイダー及び海外コンサルティングファームに依頼し、複数のアプローチにより」算定したと説明している。調査の対象は、海外でライセンスを取得するなどして事業を認められた事業者のサイトに限ったという。

違法の推計は、合法のどの賭けよりも大きい単位は兆円。金色は協議会による推計(2025年、年間賭け金総額)。ほかは発表された売上で、中央競馬は2025年、それ以外は2025年度、ボートレース・競輪・オートレースは速報値。推計と売上は性質が違う。違法スポーツ賭博違法スポーツ賭博 約6.4兆円約6.4兆円中央競馬中央競馬 3兆4,853億円3兆4,853億円ボートレースボートレース 2兆6,658億円2兆6,658億円競輪競輪 1兆5,487億円1兆5,487億円地方競馬地方競馬 1兆1,468億円1兆1,468億円スポーツくじスポーツくじ 約1,380億円約1,380億円オートレースオートレース 1,296億円1,296億円
単位は兆円。金色は協議会による推計(2025年、年間賭け金総額)。ほかは発表された売上で、中央競馬は2025年、それ以外は2025年度、ボートレース・競輪・オートレースは速報値。推計と売上は性質が違う。
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図1 違法の推計は、合法のどの賭けよりも大きい
項目賭け金の総額
違法スポーツ賭博約6.4兆円
中央競馬3兆4,853億円
ボートレース2兆6,658億円
競輪1兆5,487億円
地方競馬1兆1,468億円
スポーツくじ約1,380億円
オートレース1,296億円

全体は減り、日本の競技への賭けは増えた

協議会が2026年9月18日に発表した推計では、全体が減った2025年に、日本の競技への賭け金は増えている。日本のスポーツへの賭け金は約1.2兆円で、2024年比で約20.0%増えた。日本のプロ野球への賭け金は約6,595億円で、約24.9%の増加である。

協議会が総務省の検討会に出した資料によると、2024年に日本から賭けられた金額が最も大きかったのは日本のプロ野球の5,281億円で、イングランドのプレミアリーグが3,565.9億円、NBAが2,763.3億円だった。協議会は、日本を含む全世界で日本のスポーツを賭けの対象とする市場の規模も推計しており、2024年が約4.9兆円、2025年が約5.4兆円である。2024年分では、その半分を超える約2.9兆円が日本のサッカーの試合に賭けられているとした。

全体は減り、日本の競技への賭けは増えた協議会の推計。2025年の全体は約1.6%減、日本のスポーツへの賭けは約20.0%増、プロ野球は約24.9%増。2024年2025年日本からの賭け金の総額日本からの賭け金の総額 2024年 約6.5兆円日本からの賭け金の総額 2025年 約6.4兆円約6.5兆円約6.4兆円うち日本のスポーツうち日本のスポーツ 2024年 約1兆円うち日本のスポーツ 2025年 約1.2兆円約1兆円約1.2兆円うち日本のプロ野球うち日本のプロ野球 2024年 5,281億円うち日本のプロ野球 2025年 約6,595億円5,281億円約6,595億円
協議会の推計。2025年の全体は約1.6%減、日本のスポーツへの賭けは約20.0%増、プロ野球は約24.9%増。
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図2 全体は減り、日本の競技への賭けは増えた
項目2024年2025年
日本からの賭け金の総額約6.5兆円約6.4兆円
うち日本のスポーツ約1兆円約1.2兆円
うち日本のプロ野球5,281億円約6,595億円

警察庁の推計は何を測ったのか

警察庁は別の数字を出している。同庁の委託調査は、オンラインカジノの現在の利用者を約196.7万人、年間の賭け額の総額を約1兆2,423億円と推計した。この調査はオンラインカジノを「スロットマシン、ルーレット、トランプ、スポーツベッティング等のゲームを用いて賭博行為を行うもの」と定義しており、スポーツベッティングを含んでいる。

警察庁は2025年5月の国会で、協議会の数字への評価を示さなかった。生活安全局長の檜垣重臣氏は2025年5月21日の衆議院内閣委員会で、委託調査の年間賭け額はアンケートで尋ねた1か月あたりの平均賭け額から推計したものだと説明した。協議会の調査については、「その調査方法等については承知しておらず、その評価についてコメントする立場にはない」と答弁している。

図3 同じ問題に、2つの数字がある
警察庁の委託調査協議会の推計
測ったものスポーツベッティングを含むオンラインカジノ全体スポーツベッティングのみ
年間の賭け額約1兆2,423億円約6.5兆円(2024年)
調べ方アンケートで尋ねた1か月あたりの平均賭け額から推計海外のデータプロバイダーなどに依頼して算定
相手の数字について「評価についてコメントする立場にはない」「警察庁の調査結果を否定するものではございません」

推計を出した協議会とは何か

協議会は一般財団法人で、2025年5月14日の発表では、スポーツ関連企業など合計115社を会員としている。協議会が総務省の検討会に出した資料は、スポーツ競技の八百長などを防ぐマコリン条約に日本が署名も批准もしていないとしたうえで、条約にもとづく対策の第3段階に「既存規制市場の拡大、無規制市場の合法化」による国内市場の拡大を挙げている。

協議会は2026年9月23日、同協議会が事務局となる国際的な枠組みの発足会合が9月22日にニューヨークで開かれ、欧州評議会など9か国・地域の20の団体・機関が参加したと発表した。マコリン条約について、文部科学大臣政務官の金城泰邦氏は2025年5月21日、趣旨や目的は日本が目指すところと相違ないとしたうえで、「刑事的制裁などについて国内法制との関係などの整理も必要」だと答弁している。

オンラインカジノの摘発は2025年に317人

官房長官の林芳正氏は2025年5月21日の衆議院内閣委員会で、スポーツベッティングを含むオンライン上の賭博は「海外において適法に運営されているものであったとしても、日本国内からこれを利用するということは犯罪である」と述べた。時事通信によると、オンラインカジノによる違法賭博に関与したとして全国の警察が2025年に摘発したのは317人で、統計が残る2018年以降で最多だった。個人が端末からサイトに接続する無店舗型では、利用客196人が検挙されている。

警察庁の委託調査では、オンラインカジノの経験者の39.8%が違法だと認識しておらず、46.2%がオンラインカジノをきっかけに借金をしたことがあると答えた。日本野球機構は2025年3月24日、オンラインカジノを利用していた8球団の16人に総額1,020万円の制裁金を科すと発表している。

警察庁の調査が示す利用者の姿

  • 約336.9万人オンラインカジノを利用したことがある人(推計)。現在の利用者は約196.7万人
  • 39.8%違法だと認識していなかった経験者
  • 46.2%オンラインカジノをきっかけに借金をしたことがある経験者

国会が実際に決めたことは何か

国会は2025年、違法なオンラインギャンブルへ誘導する情報の発信を禁じた。提案者の大岡敏孝衆議院議員は6月17日の参議院内閣委員会で、改正案の措置が「オンラインカジノだけではなく、国内から違法に行われるオンラインのスポーツベッティングも対象としています」と説明した。改正ギャンブル等依存症対策基本法は6月25日に公布され、9月25日に施行されている。

6月17日の参議院内閣委員会の附帯決議は、「法律の定めるところにより行われる公営競技等を除き、スポーツベッティングを含むあらゆる賭博行為が違法であることについて、国民、特に若年層への普及啓発を徹底すること」を政府に求めた。総務省の検討会の報告書(案)は、オンラインカジノの利用に係る違法性の認識が「未だ全体の6割程度」だとしている。協議会が2026年9月18日に公表した認知度調査(20〜69歳の男女1,000人)では、違法スポーツ賭博の認知率は24.6%だった。

競技の不正を防ぐ規定も設けられた。総務省の検討会の報告書(案)によると、2025年6月にスポーツ基本法が改正され、スポーツに係る競技の不正な操作等の防止に関する規定が新設された。共同通信によると、超党派のスポーツ議員連盟は2026年5月28日に防止策を検討するプロジェクトチームの初会合を開き、6月29日の会合では政策立案団体が「競技不正操作防止法(仮称)」の制定を提言した。

米国は賭け金1,669.4億ドル、逮捕と起訴も

Sports Illustratedによると、米プロバスケットボールNBAでは2025年10月23日、現役の選手とヘッドコーチが違法賭博に関連して逮捕された。CBS Sportsによると、大リーグでは同年11月、投手2人が賭けのために意図的にボール球を投げたとして起訴され、大リーグ機構は1球ごとの賭けに200ドルの上限を設けると発表した。時事通信によると、主要プロスポーツ5団体と選手会は2026年9月、選手を脅迫した利用客を永久に利用禁止とするよう各地の規制当局に要請している。

解禁した米国の2025年

  • 1,669.4億ドル賭け金の総額前年比11.0%増
  • 169.6億ドル事業者の収益22.8%増
  • 37.1億ドル州などへの税32.4%増

解禁は誰が検討するのか

国会には、解禁を求める議員がいる。日本維新の会の金村龍那議員は2025年5月28日の衆議院法務委員会で、「私は、スポーツベッティングを解禁する方向性に今こそ日本がかじを切るべきだと思います」と述べ、日本のスポーツが海外で賭けの対象になっているのに「海外の胴元からは振興予算が配分されていない現状」があると指摘した。日本スポーツ振興センターによると、国内のスポーツくじは2025年度の売上が約1,380億円で、収益の3分の2がスポーツ振興の助成に充てられている。

2025年3月19日の衆議院経済産業委員会では、文部科学副大臣の武部新氏が「スポーツベッティングについては、現在、文部科学省において導入を検討しているということはありません」と答弁した。経済産業大臣の武藤容治氏は、2021年の同省の有識者会議の提言は欧米の事例紹介だったとして、「導入に向けた検討を行ったものではございません。そして、今も検討していない」と述べている。

内閣府大臣政務官の今井絵理子氏も2025年3月19日、IR整備法と施行規則が定めるカジノ行為にスポーツベッティングは含まれていないと答弁した。法務大臣の鈴木馨祐氏は同年5月28日の衆議院法務委員会で、解禁は「刑法で禁じられている賭博等の罪に当たる行為を限定的に許容するということ」だとし、施策を実施しようとする省庁が立案を検討するものだと述べている。金村氏は同じ委員会で、「スポーツベッティングに対する所管というのが実は日本にないんですね」と指摘した。

閣僚と政府の答弁、そして法改正大臣の記者会見と国会会議録にある発言を日付順に並べた。公的機関の発表規制2022年6月7日 経済産業大臣「実現化をしたいという動きをしている事実は全くございません」2022年6月7日経済産業大臣「実現化をしたいという動きをしている事実は全くございません」2025年3月19日 文部科学副大臣「導入を検討しているということはありません」2025年3月19日文部科学副大臣「導入を検討しているということはありません」2025年3月19日 経済産業大臣「今も検討していない」2025年3月19日経済産業大臣「今も検討していない」2025年5月21日 官房長官「日本国内からこれを利用するということは犯罪である」2025年5月21日官房長官「日本国内からこれを利用するということは犯罪である」2025年6月25日 誘導を禁じる改正ギャンブル等依存症対策基本法を公布(9月25日施行)2025年6月25日誘導を禁じる改正ギャンブル等依存症対策基本法を公布(9月25日施行)2026年5月21日 スポーツ庁次長「日本国内から利用することは犯罪」2026年5月21日スポーツ庁次長「日本国内から利用することは犯罪」
大臣の記者会見と国会会議録にある発言を日付順に並べた。
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図4 閣僚と政府の答弁、そして法改正
時期出来事種類
2022年6月7日経済産業大臣「実現化をしたいという動きをしている事実は全くございません」公的機関の発表
2025年3月19日文部科学副大臣「導入を検討しているということはありません」公的機関の発表
2025年3月19日経済産業大臣「今も検討していない」公的機関の発表
2025年5月21日官房長官「日本国内からこれを利用するということは犯罪である」公的機関の発表
2025年6月25日誘導を禁じる改正ギャンブル等依存症対策基本法を公布(9月25日施行)規制
2026年5月21日スポーツ庁次長「日本国内から利用することは犯罪」公的機関の発表

3つの数字でつかむ

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  • 約6.4兆円日本から海外サイトで賭けられた金額(2025年、協議会の推計)2024年比 約1.6%減
  • 約1,380億円スポーツくじの売上(2025年度、実績)3年連続で過去最高
  • 約1兆2,423億円スポーツベッティングを含むオンラインカジノの年間賭け額(警察庁の委託調査の推計)

日本からの賭け金が大きいリーグ(協議会の推計、2024年)

日本からの賭け金が大きいリーグ(協議会の推計、2024年)2024年に日本居住者が海外サイトで賭けた金額の推計(億円)。協議会が総務省の検討会に提出した資料から、上位5つ。日本のプロ野球日本のプロ野球 5,281億円5,281億円プレミアリーグプレミアリーグ 3,565.9億円3,565.9億円NBANBA 2,763.3億円2,763.3億円欧州CL欧州CL 2,230.4億円2,230.4億円J1J1 1,657億円1,657億円
2024年に日本居住者が海外サイトで賭けた金額の推計(億円)。協議会が総務省の検討会に提出した資料から、上位5つ。
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図5 日本からの賭け金が大きいリーグ(協議会の推計、2024年)
項目賭け金(億円)
日本のプロ野球5,281億円
プレミアリーグ3,565.9億円
NBA2,763.3億円
欧州CL2,230.4億円
J11,657億円

日本の読者にとって

日本から海外のサイトで賭けることは、海外で適法に運営されているサイトであっても犯罪だというのが官房長官の2025年5月の答弁である。警察庁の委託調査では、オンラインカジノの利用は年代別で20代が最も多く、経験者は約110.1万人、現在の利用者は約73.8万人だった。違法なオンラインギャンブルへ誘導する情報の発信は、ギャンブル等依存症対策基本法の第9条の2で禁じられている。

読者のみなさんへ

スポーツの試合に賭けることを、日本は認めるべきだと思いますか? それとも今のままがよいですか?

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相談窓口

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出典

この記事の作り方

この記事は、読者がよく検索している疑問と当サイトのデータをもとに編集部が企画し、出典に挙げた公式の発表と当サイトの記事、その元の報道だけを根拠に書いたものです。かぎかっこで引いた発言は元の報道にあるもので、発言者を添えています。事実は機械と別のAIが一文ずつ確かめ、編集長役のAIの基準に届いたものだけを公開しています。ギャンブルを勧めるものではありません。