ここがポイント

  • 2024年9月6日に事業者の解除権が失効し、2025年4月に着工した。
  • 初期投資額は約1兆5130億円となり、当初計画から増額された。
  • 地盤対応や工事環境により開業が1〜2年遅れる可能性が残る。

けれど2024年9月6日に事業者の協定解除権が失効したことで、制度上の撤退の節目は過ぎている。大阪湾の人工島である夢洲では2025年4月に着工し、2030年秋ごろの開業を目指す。計画はこれまでどんな手続きを経て、いまどこまで進んでいるのか。

「撤退」の条件はどう消えたか

大阪府・市と事業者が2023年9月28日に結んだ実施協定には、事業者が手を引くことができる権利が盛り込まれていた。税の扱いや融資の見込み、観光需要の回復見込みなどが整わない場合に協定を解除できる権利だ。

この解除権の期限は2026年9月末と定められていた。しかし大阪府によると、2024年9月6日付で事業者から通知があり、解除権は前倒しで失効した。事業者側が契約を途中でやめられる権利を自ら手放した形やね。

撤退の選択肢がなくなったのち、大阪IR株式会社は2025年4月24日に夢洲の事業用地で起工式を開き、建設工事に着手した。夢洲は大阪湾にある人工島で、日本初の統合型リゾートの現場として工事が進んでいる。

  1. 2022年2月15日大阪府によると、府・市は2022年2月15日、日本MGMリゾーツとオリックスが設立した大阪IR株式会社と基本協定を結んだ
  2. 2022年4月27日観光庁によると、2022年4月27日、大阪府と長崎県の区域整備計画の認定申請が受け付けられた
  3. 2022年7月29日日本経済新聞によると、大阪府議会は2022年7月29日、IR誘致の是非を問う住民投票条例案を否決し、吉村洋文知事は本会議で「改めて住民投票をする意義は見いだしがたい」と述べた
  4. 2023年4月14日観光庁によると、国土交通大臣は2023年4月14日、大阪・夢洲地区の区域整備計画を条件を付けて認定した
  5. 2023年4月14日観光庁によると、大阪の認定に付いた7つの条件には、地盤沈下の継続的な計測、地域との双方向の対話の場、依存が疑われる人の割合の調査と対策の定期的な検証が含まれる
  6. 2023年12月27日観光庁によると、国土交通大臣は2023年12月27日、審査委員会が要求基準に適合しないとの見解を示したことを受けて、長崎県の区域整備計画を認定しないと決めた
  7. 2023年9月28日大阪府によると、府・市と大阪IR株式会社は2023年9月28日、実施協定などのIR関連協定に調印した
  8. 2024年9月6日大阪府によると、2024年9月6日付で事業者から通知があり、実施協定にあった事業者の解除権は同じ日付で失効した
  9. 2025年4月24日大阪府によると、大阪IR株式会社は2025年4月24日に夢洲の事業用地で起工式を開き、IRの建設工事に着手した
  10. 2025年9月12日大阪府の新旧対照表によると、2025年9月12日の計画変更で、大阪IRの初期投資額は約1兆2,700億円から約1兆5,130億円になった
  11. 2026年10月9日国土交通省は2026年10月9日に公表した2025年度の評価で、大阪IRについて、建設工事の着手や中核株主の出資、液状化対策工事などに進捗が見られ「一定の評価はできる」とした
  12. 2022年7月29日日本経済新聞によると、住民投票を求めた市民団体の山川義保事務局長は条例案の否決後の記者会見で、今後は「条例案に反対した議員に説明を求め、計画を国が承認しないように訴えていきたい」と語った
データを表で見る
図1 大阪IRの年表
時期出来事種類
2022年2月15日大阪府によると、府・市は2022年2月15日、日本MGMリゾーツとオリックスが設立した大阪IR株式会社と基本協定を結んだ節目
2022年4月27日観光庁によると、2022年4月27日、大阪府と長崎県の区域整備計画の認定申請が受け付けられた節目
2022年7月29日日本経済新聞によると、大阪府議会は2022年7月29日、IR誘致の是非を問う住民投票条例案を否決し、吉村洋文知事は本会議で「改めて住民投票をする意義は見いだしがたい」と述べた節目
2023年4月14日観光庁によると、国土交通大臣は2023年4月14日、大阪・夢洲地区の区域整備計画を条件を付けて認定した節目
2023年4月14日観光庁によると、大阪の認定に付いた7つの条件には、地盤沈下の継続的な計測、地域との双方向の対話の場、依存が疑われる人の割合の調査と対策の定期的な検証が含まれる節目
2023年12月27日観光庁によると、国土交通大臣は2023年12月27日、審査委員会が要求基準に適合しないとの見解を示したことを受けて、長崎県の区域整備計画を認定しないと決めた節目
2023年9月28日大阪府によると、府・市と大阪IR株式会社は2023年9月28日、実施協定などのIR関連協定に調印した節目
2024年9月6日大阪府によると、2024年9月6日付で事業者から通知があり、実施協定にあった事業者の解除権は同じ日付で失効した節目
2025年4月24日大阪府によると、大阪IR株式会社は2025年4月24日に夢洲の事業用地で起工式を開き、IRの建設工事に着手した節目
2025年9月12日大阪府の新旧対照表によると、2025年9月12日の計画変更で、大阪IRの初期投資額は約1兆2,700億円から約1兆5,130億円になった節目
2026年10月9日国土交通省は2026年10月9日に公表した2025年度の評価で、大阪IRについて、建設工事の着手や中核株主の出資、液状化対策工事などに進捗が見られ「一定の評価はできる」とした節目
2022年7月29日日本経済新聞によると、住民投票を求めた市民団体の山川義保事務局長は条例案の否決後の記者会見で、今後は「条例案に反対した議員に説明を求め、計画を国が承認しないように訴えていきたい」と語った節目

法案成立から区域認定までの経過

夢洲で工事が始まるまでには、いくつもの手続きがあった。国会では2018年7月20日に参議院本会議でIR整備法が可決され、7月27日に公布された。カジノを含む統合型リゾートを全国で最大3か所認める法律だ。

大阪府・市は2019年12月24日に事業者の公募を始めた。そして2021年9月28日に、MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスが中核企業となるグループを事業予定者に選定した。2022年2月15日には基本協定を結んでいる。

地元では誘致の賛否を問う住民投票条例の制定を求めて署名が集まり、有効署名は19万2,773に達した。しかし大阪府議会は2022年7月29日に条例案を否決し、吉村洋文知事は本会議で「改めて住民投票をする意義は見いだしがたい」と述べた。住民投票を求めた市民団体の山川義保事務局長は否決後の記者会見で、今後は「条例案に反対した議員に説明を求め、計画を国が承認しないように訴えていきたい」と語った。

大阪府と長崎県は2022年4月27日に区域整備計画の認定を申請した。国土交通大臣は2023年4月14日、地盤沈下の継続的な計測や依存症対策の検証など7つの条件を付けて大阪の計画を認定した。一方、長崎県の計画は2023年12月27日に認定されず、認定されたのは全国で大阪の1か所のみとなっている。

大阪IRが着工までに越えた手続き

  1. 事業者を公募する2019年12月24日、大阪府・市が夢洲のIRを運営する事業者の公募を始めた。
  2. 事業者を選び、協定を結ぶ2021年9月28日にMGMとオリックスのグループを選び、2022年2月15日に基本協定を結んだ。
  3. 国に計画を申請する2022年4月27日、区域整備計画の認定申請が国に受け付けられた。
  4. 国が条件付きで認定する2023年4月14日、国土交通大臣が7つの条件を付けて認定した。
  5. 実施協定を結ぶ2023年9月28日に調印。事業者は2026年9月末まで協定を解除できた。
  6. 解除権が消え、着工する解除権は2024年9月6日付で失効し、2025年4月24日に起工式が開かれた。

大阪府・市と国の発表による(2026年10月時点)。

1.5兆円に膨らんだ投資と地盤

KEY NUMBER。約1兆5130億円。初期投資額
図版(背景はAI生成):初期投資額

工事が始まって直面したのが費用の増額だった。大阪IRの初期投資額は、2022年4月の認定申請時の約1兆800億円から、2023年9月に約1兆2,700億円へ見直され、2025年9月12日の計画変更で約1兆5130億円になった。

初期投資額は約1兆5130億円に達し、大阪府は2026年1月の説明会で、建設資材価格や労務単価の高騰、人手不足、大阪IR特有の難しい工事が重なったためと理由を説明した。プロジェクトの主要株主は2025年度に合計1,126億円を拠出している。

工事の進行について、MGMリゾーツ・インターナショナルの社長兼CEOのビル・ホーンバックル氏は「MGM大阪は、日本で唯一の免許保持者として、予定通りかつ予算内で進んでいる」と述べている。プロジェクト会社も合意されたスケジュール通りに進んでいると報告した。

国土交通省は2026年10月9日に公表した評価で、建設工事の着手や中核株主の出資、液状化対策工事に進捗が見られるとして「一定の評価はできる」とした。ただし大阪府の2026年7月の計画概要によると、2030年秋頃の開業は最も早く進んだ場合の想定で、夢洲特有の地盤への対応や工事環境によっては工程が1〜2年程度後ろ倒しになる可能性がある。

大阪IRの初期投資額の移り変わり

  • 約1兆800億円2022年4月の認定申請のとき
  • 約1兆2,700億円2023年9月の見直し(建設資材価格の高騰)
  • 約1兆5,130億円2025年9月の見直し

万博跡地の公募と2030年秋への課題

夢洲では、2025年4月13日から10月13日まで大阪・関西万博が開かれた。その会場だった万博跡地である約50ヘクタールの「夢洲第2期」について、大阪府・市は2024年1月に事業者を2段階で募集する方針を公表し、2026年7月3日に公募を公告した。参加受付は2026年8月5日から2027年1月8日まで行われる。

島全体の開発が進む一方で、IR事業の中身にも課題が示されている。大阪IRの年間売上は約5,200億円の計画で、そのうちカジノゲームを行うゲーミングが約4,200億円を占める。国土交通省は2026年10月、特定の顧客層に過度に頼らない集客や、カジノ収益を非カジノ事業へ再投資する計画の策定を求めた。

依存症対策の体制整備も動き出している。大阪府・市が設けるとした「(仮称)大阪依存症対策センター」は、2026年4月1日に開設準備チームが置かれた。2026年度に向けては内装や設備の設計、開業計画の準備が進められ、夢洲第2期の参加受付が締め切られる2027年1月8日へ向かって歩みが続く。

国が認定に付けた条件(抜粋)

図2 国が認定に付けた条件(抜粋)
条件求めていること
地盤地盤沈下を継続的に計測し、液状化対策と土壌汚染への備えを十分に検討すること
地域地域との十分な双方向の対話の場を設け、良好な関係づくりに継続的に努めること
依存症依存が疑われる人の割合を調べ、その結果をもとに依存防止対策を定期的に検証すること

日本の読者にとって

大阪IRは日本で初めて認定された統合型リゾートとして建設が進む。年間売上計画約5,200億円のうち約4,200億円をゲーミングが占めるため、国は非カジノ事業への再投資を求めている。日本人の入場には1回6,000円の入場料やマイナンバーカードによる回数制限が適用される。

読者のみなさんへ

投資額が増額し、開業が1〜2年遅れる可能性も報じられる大阪IRの現状をどう見ますか?

ページ下のワンタップ投票で答えて、選んだ理由をコメントで聞かせてください。

よくある質問

大阪IRはいつ開業しますか?

2030年秋ごろの開業を目指していますが、地盤への対応や工事環境によっては工程が1〜2年程度後ろ倒しになる可能性があります。

大阪の次にIRができる可能性はありますか?

法律上の認定枠は全国で最大3か所で、国は2027年5月から11月に2回目の申請を受け付ける予定です。

日本人も大阪IRのカジノに入れますか?

入れます。ただし入場料が1回6,000円かかり、マイナンバーカードによる本人確認や7日間で3回、28日間で10回までの回数制限があります。

オンラインカジノは大阪IRと関係がありますか?

関係ありません。日本国内からオンラインカジノで金を賭ける行為は、海外ライセンスのサイトであっても刑法の賭博罪にあたります。

出典

この記事の作り方

この記事は、読者がよく検索している疑問と当サイトのデータをもとに編集部が企画し、出典に挙げた公式の発表と当サイトの記事、その元の報道だけを根拠に書いたものです。かぎかっこで引いた発言は元の報道にあるもので、発言者を添えています。事実は機械と別のAIが一文ずつ確かめ、編集長役のAIの基準に届いたものだけを公開しています。ギャンブルを勧めるものではありません。

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