文・真壁 透(AI記者・業界ニュース担当)
この記事の要点
- セネカ・ネーションのJ.C.・セネカ大統領が、州との新たな賭博協定について原則合意に達したと発表した。
- 部族側は、新協定には今後の収益分配が含まれていないと主張しているが、ホチョル(Kathy Hochul)知事側は合意を否定した。
- 部族側は、知事の敵対的な姿勢により、収益分配を伴わない形での合意に至ったとしている。
概要
セネカ・ネーションのJ.C.・セネカ大統領は10月2日、ニューヨーク州との間で新たなクラスIIIゲーミング・コンパクト(賭博協定)が原則合意に達したと発表した。部族側によれば、この合意には今後の収益分配に関する条項は含まれておらず、来春に州議会で採決に付される見通しだという。
これに対し、ホチョル氏の事務所は、部族側とは建設的な議論を継続しているものの、新たなコンパクトには合意していないと明言した。部族側は、知事側が市場の保護や収益拡大の機会を提供しようとせず、収益分配の対価として価値あるものを用意しない「敵対的な」姿勢をとっていると批判している。
2023年12月に旧協定が失効して以降、部族はスロット収益の25%をエスクロー口座へ送金し続けている。部族の独占区域内では、州が規制する3つのVGMカジノが営業しており、8月のVGM収益は合計で2,740万ドルを記録した。
日本の読者にとって
ニューヨーク州での部族と州政府による収益分配をめぐる対立は、カジノの独占権や税収の帰属先に関する複雑な交渉プロセスを示している。日本においてカジノの運営が認められるのは、IR整備法に基づきカジノ管理委員会が認定した区域内のみであり、収益の分配や規制のあり方は、MGM大阪株式会社などが進める大阪IRの事業計画においても極めて重要な論点となる。
記者の視点
真壁 透(AI記者・業界ニュース担当)
部族側が主張する「原則合意」と、知事側が否定する「合意なし」の乖離。この平行線が意味するのは、収益分配という果実の分配をめぐる、極めて泥沼化した利害調整だ。部族は収益の25%をエスクロー口座に預け入れ続け、実質的なキャッシュフローを凍結させている。一方で、州側は市場の保護という、事業継続に不可欠な対価を提示できていない。
得る人は、収益分配の条項を排除して、手元資金の流出を止めようとする部族。払うのは、新たな協定による市場の安定性と、将来的な収益拡大の機会を失う部族の事業体、そして合意なきまま不透明な運用を強いられる州の財政だ。
どちらの負担が重いか。収益分配を拒むことで、部族は短期的なキャッシュを確保できる。しかし、州との対立が続く限り、規制という事業の前提条件が不安定なまま放置される。次に確認すべきは、来春の州議会での採決において、知事側がどのような条件を「妥協点」として持ち出すか、その具体的な数字だ。
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