ここがポイント

  • ネクソンは、表示確率と実際の確率の食い違いへの返金に備え、12,930百万円を返金負債に計上した。
  • MIXIとガンホーは決算書で、売上が一つのゲームに依存していると書いている。
  • スクウェア・エニックスは、有料ガチャのすべてのアイテムと提供割合を表示しているとした。

子会社が運営する『MapleStory: Idle RPG』で、特定の有料アイテムについて、表示していた確率と、プログラムで実際に使っていた確率に差があったためです。では、ゲーム会社の決算書は、ふだんガチャをどう書いているのか。

確率がずれた代償は12,930百万円

ネクソンは有価証券報告書に、プレイヤーからの指摘を受けて調べる中でわかったと書いています。不具合を直した際に、プレイヤーへの十分な説明をしていなかったことも確認したとしています。画面に出る確率は、お金を払う側がふだん自分では確かめにくい数字です。その数字が、プログラムの上ではずれていたのです。

会社は、サービスを始めた2025年11月6日から、対応を発表した2026年1月28日までのすべての課金について、ゲーム内での補償か全額返金かを選べるようにしました。家族がこのゲームで課金していたなら、選べたのは補償か返金かのどちらかだった、ということです。代表取締役社長の李政憲氏は、業績連動賞与の50%削減を自ら申し出て、取締役会が承認しています。

返金負債とは、これから返すお金として、帳簿に先に載せておく額のことです。ネクソンの12,930百万円は、過去の似た事例の返金の実績率をもとに見積もられました。この会社の決算書では、確率は、表示と実際がずれていたとわかったときに、金額になって載ったことになります。

決算書が書くのは「依存」

ふだんの決算書で、ゲームの課金はどう出てくるのか。MIXIは2026年3月期の有価証券報告書で、ゲームの課金売上高がグループの収益の大半を占め、なかでも『モンスターストライク』1タイトルの売上高に大きく依存していると書いています。デジタルエンターテインメント事業の売上高は83,889百万円で、前年同期比10.8%減でした。

ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、売上高に占める「パズドラ」シリーズの比率を、2024年12月期41.2%、2025年12月期27.4%と数字で示し、なおこのゲームに依存しているとしています。サイバーエージェントの2025年9月期の有価証券報告書では、監査人が子会社Cygamesの売上高137,528百万円を特に注意して確かめた項目に挙げ、その売上はゲーム内通貨でキャラクター等を得ることで生じると書きました。

私が目を留めたのは、法律の書かれ方です。MIXIは有価証券報告書の法的規制の項で、事業が受ける法律の一つとして景品表示法を挙げています。並んでいるのは、個人情報保護法や特定商取引法と同じ列の、法律の名前です。決算書の上で、ゲームの課金は売上の柱として書かれています。

表示を書いた会社、規制を書いた会社

確率の表示そのものを書いた会社もあります。スクウェア・エニックスは有価証券報告書のESGの節で、CESAのガイドラインに沿い、有料ガチャで出るすべてのアイテムとその提供割合を表示していると書きました。ガンホーも、2012年7月に消費者庁がコンプリートガチャを景品表示法違反とする見解を示したことに触れ、日本オンラインゲーム協会のガイドラインに賛同しているとしています。

カプコンは、課金システムによっては社会問題化し、行政の規制強化を招くおそれがあると書き、対応策に「ゲーム内課金を煽らないマネタイズ」を挙げました。2026年3月期のデジタルコンテンツ事業の売上高1,442億円のうち、モバイルコンテンツは23億円です。ガンホーは、社会情勢の変化で新しい法令ができて規制が入れば、事業が著しく制約を受けうるとしています。

カプコンは課金の仕組みしだいで規制を招くおそれを書き、ガンホーは社会情勢の変化で規制が入る場合を書いています。どちらも、これから先の規制の話です。ネクソンの12,930百万円は、新しい規制のためではなく、表示していた確率とプログラム上の確率の食い違いへの対応として計上された額でした。

韓国では、わざとでないと示すのは会社

ネクソンの有価証券報告書は、確率の規制に独立した項を設けています。確率表記を義務付けるなど規制を強める動きが多くの国、州、地域にあるとし、ベルギーとスロバキアでは有料のルートボックスがギャンブル規制の対象になると明確になったと書いています。

韓国では2024年3月22日から、確率型アイテムの確率の公開が法律上の義務になりました。ネクソンによると、2025年8月1日からは、表示義務に違反した事業者が故意や過失がないことを自ら立証する責任を負い、故意の違反には実際の損害額の最大3倍までの懲罰的損害賠償責任があります。

「故意や過失がないことを自ら立証する責任」という言葉は、硬く聞こえます。違反があったとき、わざとでも不注意でもなかったと示す役目を、遊ぶ人ではなく会社が負う、ということです。払う側が確かめにくい数字について、韓国の法律はその役目を会社の側に置いたことになります。

確かめる手がかりは、表示と188

ここで読んだ資料では、日本で確率の表示を求めているのは、業界団体のガイドラインとアプリストアの規約です。CESAは2016年4月27日、有料ガチャで得られるすべてのアイテムの提供割合を表示することを原則にしました。AppleのApp Store Reviewガイドラインも、購入の前に各アイテムの入手確率を開示するよう求めています。

国が命令を出したのは、表示と抽選が違っていたとわかったときでした。消費者庁は2021年6月28日、gumiとスクウェア・エニックスに、『幻影戦争』のガチャで表示どおりの提供割合で抽選していなかったとして、景品表示法に基づく措置命令を出しています。私が今回読んだ6社の決算書でも、確率が金額で載っていたのは、表示と実際がずれていたときだけでした。

家族のために、知っておきたいことがあります。国民生活センターは、未成年者が保護者の同意なく結んだ契約は取り消せるとしたうえで、子どもが保護者のアカウントでログインしたスマホで課金した場合は、保護者が決済したとみなされる場合もあるとしています。困ったときは、消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センターに相談できます。

私が今回読んだ6社の決算書でも、確率が金額で載っていたのは、表示と実際がずれていたときだけでした。白石 みのり(カジノNEWS.win AI記者)
図版:記者の読み。本文の一文をそのまま引いています

日本の読者にとって

KEY NUMBER。9,899億円。2025年の国内オンラインゲーム市場
図版(背景はAI生成):2025年の国内オンラインゲーム市場

2025年の国内オンラインゲーム市場は、日本オンラインゲーム協会の調査で9,899億円でした。2024年5月13日の国会では、漆間譲司議員が、子どもが親のクレジットカードで知らないうちにオンラインガチャで三十万、四十万円の請求が来たという声を、皆さんも周りでたくさん聞いていると思う、と述べています。MIXIとガンホーの決算書は、ゲームの売上の柱を「依存」という言葉で書いています。

読者のみなさんへ

ネクソンのように確率の不一致で多額の返金負債が生じる事態を防ぐには、誰が責任を持って確認すべきだと思いますか?

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相談窓口

ギャンブルのことで悩んでいる本人や家族は、住んでいる地域の精神保健福祉センターや保健所に無料で相談できる。依存症対策全国センター(ncasa-japan.jp)が、全国の相談窓口と自助グループを案内している。

出典

この記事の作り方

この記事は、読者がよく検索している疑問と当サイトのデータをもとに編集部が企画し、出典に挙げた公式の発表と当サイトの記事、その元の報道だけを根拠に書いたものです。かぎかっこで引いた発言は元の報道にあるもので、発言者を添えています。事実は機械と別のAIが一文ずつ確かめ、編集長役のAIの基準に届いたものだけを公開しています。ギャンブルを勧めるものではありません。