6万5000ドル(約1,038万円)の罰金、利益没収と3年間の取引禁止処分

商品先物取引委員会(CFTC)は、ドナルド・トランプ大統領の元テレプロンプター担当者であるガブリエル・ペレス氏に対し、Kalshiでトランプ氏がスピーチで何を発言するかに賭けたとして6万5000ドル(約1,038万円)の罰金を科した。加えてペレス氏は、取引で得た約10万ドル(約1,597万円)の利益の没収と、3年間の取引禁止処分を受ける。

CFTCによれば次の通りである。

ペレス氏はトランプ氏の発言に関する14の市場で取引を行い、43件の契約のうち39件で利益を出した。ペレス氏が得た利益は10万7539.02ドル(約1,718万円)に上る。

同規制当局は、ペレス氏が自身の立場を利用してトランプ氏がスピーチで何を発言するかについて内部情報を得て、市場から利益を得ていたと指摘した。ホワイトハウスは、この件が先月報じられた直後にペレス氏を解雇した。トランプ氏はペレス氏の行為を「恥さらし」と非難した。

ペレス氏は捜査に協力

CFTCは「ペレス氏が今回の基礎となる捜査において並外れた協力を提供し、本件の迅速な解決に寄与したことを認める」と述べた。

メリーランド州在住のペレス氏は、取引を行う前にトランプ氏のスピーチ原稿に目を通していたことを認め、自身の違反行為について全面的に責任を受け入れたという。

CFTCは捜査への協力についてKalshiにも謝意を示した。同社は社内調査を通じてペレス氏によるインサイダー取引を特定し、CFTCに通報したとしている。

Kalshiのエンフォースメント責任者を務めるロバート・デノー氏は、X(旧Twitter)への投稿で「あなたが誰であろうと関係ない。当社のルールや連邦法に違反すれば、その代償を払うことになる」と記した。

今回の捜査結果は、CFTCのマイケル・セリグ委員長が米国の規制下にあるプラットフォームでこうした市場が存在することを否定してから間もなく公表された。Kalshiは全面的にCFTCの規制下にある。

元委員「CFTCは強いメッセージを発していない」

CFTCの元委員であるクリスティ・ゴールドスミス・ロメロ氏は、6万5000ドル(約1,038万円)の罰金では今後のインサイダー取引を抑止するには不十分だと述べた。

ロメロ氏は次のように述べた。

通常、CFTCは被告に協力するインセンティブを与えるべきだ。しかし今回は、ホワイトハウスという政府の最高レベルで行われたインサイダー取引である。この小さな処分によって、CFTCは今後のインサイダー取引を抑止するための強いメッセージを発する機会を手放してしまった。

他の事例とは異なり、CFTCはペレス氏に対する刑事訴追は行っていない。同機関は今年に入り、Googleのエンジニアであるミシェル・スパニュオーロ氏を商品詐欺の容疑で訴追している。スパニュオーロ氏も同様に自身の立場を利用し、内部情報をもとに市場で取引を行っていた。同氏はPolymarketでGoogle検索関連の市場に賭け、120万ドル(約1億9,169万円)の利益を得ていた。

CFTCはまた、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領がいつ退任するかに賭けた米兵ガノン・ケン・ヴァンダイク氏についても刑事訴追を行った。ヴァンダイク氏はマドゥロ氏の拘束につながった作戦に関与していた。

ヴァンダイク氏とスパニュオーロ氏はいずれも、CFTCにはPolymarketの国際プラットフォームに対する管轄権がないとして、自分たちへの訴追は棄却されるべきだと主張している。両氏はまた、これらの市場は商品取引所法(CEA)が定めるスワップの区分には該当しないとも主張している。

先週には、予測市場をめぐる新たなインサイダー取引事案が近く発覚する見通しであることが報じられた。米軍人が関与する事案とKPMGの従業員が関与する事案が含まれる。

CFTC、インサイダー取引でジョージ・サントス氏にも罰金

先月にはCFTCが、一般教書演説に自身が出席するかどうかに賭けたとして、元下院議員のジョージ・サントス氏にも1万7500ドル(約280万円)の罰金を科している。

サントス氏に対する命令の中でCFTCは、同氏がソーシャルメディアへの投稿を通じて自身の出席をめぐる価格を操作したと指摘した。その後同氏はポジションを解消し、総額1万7569.98ドル(約281万円)の利益を得た。

X上で公表された声明の中で、サントス氏の弁護士は、誰かを欺くつもりはなかったと述べた。

サントス氏は、一般教書演説への出席の意向も、それを取りやめるという計画変更も、誰に対しても隠してはいない。誰かを欺く意図も、いかなる市場を操作する意図も一切なかった。

ペレス氏と同様、CFTCはサントス氏にも3年間の取引禁止処分を科した。同氏の弁護士は、この寛大な処分は事件の深刻さの低さを反映していると述べた。

その条件自体が物語っている。これは民事上の行政的な解決であり、刑事訴追もなければ、責任についての認定や認容もない。合意された金銭的条件は、連邦規制当局が扱う案件としてはどのような基準で見ても控えめなものであり、サントス氏は登録プラットフォームでの取引について、期間を限定した一定の制限に同意した。

サントス氏、Kalshiを激しく非難

処分に同意して以降、サントス氏はKalshiを激しく非難している。同氏は以前、競合のPolymarketの有償アンバサダーを務めていたが、スキャンダル発覚後に同社から契約を打ち切られていた。

CFTCがサントス氏への罰金を発表した翌日、同氏はXに投稿し、Kalshiはギャンブルプラットフォームとして分類されるべきだと主張した。

その後の投稿では、KalshiのCEOであるタレク・マンスール氏を「レバノン系の『アンカーベイビー』」と呼び、共同創業者のルアナ・ロペス・ララ氏については母国ブラジルへ強制送還すべきだと求めた。

さらに同氏は、「9月からワシントンで仲間を集め、Kalshiをギャンブルサイトとして再分類させるために全力で戦う」と付け加えた。

サントス氏は昨年、なりすましと電信詐欺の罪を認め、87カ月の禁錮刑を言い渡されていた。同氏は献金者の身元情報やクレジットカード情報を盗み、無許可の政治献金に使用したとされる。トランプ氏は同氏をわずか3カ月の服役後に釈放した。

トランプ氏が、サントス氏および自身の元テレプロンプター担当者に対するCFTCの事案に何らかの形で関与していたかどうかは明らかになっていない。同氏は、全米で法的な精査が進む中、予測市場を規制する同機関を全面的に支持する姿勢を示している。