カリフォルニア州をはじめとする各州でスイープステークス(sweepstakes)との戦いには勝利したが、その戦いはカジノ業界が今後向き合う予測市場(prediction markets)との戦いに向けた予行演習でもあった——。サンディエゴで今月開催されたIndian Gaming Association(IGA、米インディアン・ゲーミング協会)トレードショー兼大会で浮かび上がった最大の論点の一つである。
カリフォルニアでは、オンラインカジノを模倣する形で運営するスイープステークス事業者を取り締まる法案を2025年に立法府で通過させるべく、部族らが動きを主導した。1年前のサンディエゴIGAではスイープステークスが最大の論点だったが、各州と部族が予測市場の排除に向かう中で、議論は大きく様変わりしている。
ライト・アンド・ワンダー(Light & Wonder)の渉外責任者ハワード・グレイザー氏は、スイープステークスに対する勝利について「業界が一枚岩になれば、ほぼ何でも成し遂げられることを示した」と述べた。「カリフォルニアの後、すべてのドミノが倒れた。昨年我々が語った『存亡の脅威』は、今日ではもはやその脅威ではない。スイープステークスは、今年の予測市場という脅威に向けた試運転であり、ウォーミングアップだった。来年になれば、また別のものが出てくる。技術は常に進化しており、業界を損なう形で賭博法に切り込もうとする者は常に存在する」
カリフォルニアの部族は2025年に120億ドル(約1.8兆円)のゲーミング収入を計上した。これらの資金は医療や子ども・高齢者向けサービスという形でコミュニティに還元される。スイープステークスや予測市場に流れる収入は、その還元分を侵食する。
IGA大会議長のビクター・ロチャ氏は、スイープステークス事業者に対する勝利について「我々は虚を突かれたが、相手は我々がこれほど強く反撃するとは想定していなかった。彼らに我々を止めるすべはなかった」と語った。
ユハービアタム・オブ・サン・マニュエル・ネーションのゲーミング担当副社長兼ジェネラル・カウンセル、マイケル・ホーニッグ氏は、立法の要はスイープステークス事業者だけでなく、彼らと取引する企業にも矛先を向けた点にあると指摘した。プラットフォーム提供者、金融サービス、マーケティングなど、事業者への役務提供を違法化したという。
ホーニッグ氏は「それ以来、他の州も同様の対応を行っており、グレーゾーンの存在ゆえに法の明確化が必要だと認識されている」と述べた。
各州がカリフォルニアのスイープステークス立法に続く一方、論点は今や予測市場に移りつつあるとグレイザー氏は語る。
「昨年のスイープステークスの戦いから予測市場への教訓として学ぶべきは、何が機能し何が機能しなかったかだ」とグレイザー氏。「スイープステークス陣営は、それほど組織化されていなかった。だが予測市場陣営は組織化されている。ハードルははるかに高く、前途はずっと困難だ。同じ戦い方を予測市場に持ち込めば同じ結果が得られるという誤った安心感に流されてはならない。今は別次元の戦いだ」
Play'n GO の渉外責任者であり、ウェストヴァージニア州議員でもあるショーン・フルハーティ氏は、スイープステークス業界は現在の予測市場のように裁判で争うことはなかったと指摘した。
「KalshiやPolymarketは『法廷で会おう』と言っている」とフルハーティ氏。「スイープステークスでは見られなかった動きであり、これは異質な戦いだ」
ホーニッグ氏は、予測市場側は提訴を待たずに連邦裁判所で州に対し先制的な法的措置を取っているとも語った。
「予測市場の事業者はスイープステークスと違い、極めて攻撃的だ」とホーニッグ氏。「彼らは州に対し『我々は去らない』と告げている。これは長期戦になる」
サン・マニュエル・ネーションの政府間関係最高責任者ダン・リトル氏は、問題はKalshiなど予測市場事業者だけではないと指摘。DraftKingsのような従来型スポーツブックも参入し、カリフォルニア州内でベットを提供しているという。
スイープステークスの当初の成功と、現在の予測市場の拡大は、オンラインゲーミングに対する「極めて大きな消費者需要」と受容性を示していると、グレイザー氏は語った。この需要は消えることはない。
「米国で現在、合法的にその需要を満たせる機会は限られている」とグレイザー氏。「iGaming(オンラインカジノ)が合法なのはわずか7つの管轄に過ぎないが、オンラインゲーミングへの需要は50州すべてに存在する。それが予測市場やスイープステークスの燃料であり酸素だ。特に部族にとっての本質的な政策上の問いは、技術的にオンラインゲーミングを提供でき、マーケティング資金もある中で、どう動くかだ。正しい戦いを戦う中でも、大局を見失ってはならない。部族がオンラインゲーミングを手掛けることこそが、この消費者需要を抑える助けになる」
ロチャ氏は、部族は慎重姿勢を取っており、正しい道筋を確認するため、一挙手一投足を検証せざるを得ないと語った。カリフォルニア州の有権者は2022年の住民投票で、店頭およびオンラインのスポーツベッティングを圧倒的多数で否決している。
「我々は世論調査を見てきた」とロチャ氏。「カリフォルニア州民にはニーズがあるが、一方でこうしたものがもたらす社会の劣化も見ている。我々は慎重かつ確実な道を進むが、部族を通じて、最終的にはカリフォルニアでiGamingを合法化する」
グレイザー氏は、どの州でもiGamingには逆風があると認めつつも、州や部族が先送りするほど、違法なオンラインゲーミングに門戸を開くことになると指摘した。
1年後の見通しについてホーニッグ氏は、連邦裁判所の案件が最高裁まで到達することはないとの見方を示した。すべての案件は初期段階にあり、最高裁に届くには2年を要する可能性があるという。「最高裁に向かう道中で、物事が順調に進んでいる、という会話になれば良いと期待している」
議会は、予測市場を支持するトランプ政権の方針を踏まえると動く可能性は低く、立法的な動きが出てくるのは2029年に発足する次期政権まで待つことになるかもしれない——フルハーティ氏はそう語った。
一方グレイザー氏は、予測市場が顧客を獲得している点に注意を促した。これはこの業界における重要な資産である。
「彼らは製品を作り込んでいる」とグレイザー氏。「最も強気な見方に立てば、1年後には顧客基盤がさらに拡大し、社会的受容も広がり、予測市場上にスロットマシンも登場するだろう。スポーツベッティングは予測市場収入の9割を占めている。次の大きな柱は、実店舗も含めたカジノ的ゲームだ。ある企業はワシントンD.C.にラウンジを開設した。訴訟(と立法)はこれから展開していく。私が話したすべての事柄は、リアルタイムで起きている」
ロチャ氏は明るい材料として、予測市場が戦争賭けやインサイダー取引疑惑、そこからの利得などで世論の戦いで旗色を落としていると指摘。各州、部族、規制当局などが団結して対抗していると語った。
「我々は退かない。この戦いを続け、勝つ。私の中に疑いはない。相手は、次期政権や議会が目覚める前にポジションを固めるまでの時間が限られていることを知っている。彼らが自らを安全と見なすほどには安全ではなく、我々が自らを脆弱と見なすほどには脆弱ではない」