Evolutionの買収提案に対する株主の判断期限が迫る中、その提案の背後にある人物こそが、より大きな決断を迫られているとみられる。

ケネス・ダート氏は、自身が保有するキャンドル・レイクを通じ、同社の全株式を対象に1株当たり695スウェーデン・クローナ(52.80ポンド)の買収提案を行った。これは同氏の保有比率が30%を超え、義務付けられた公開買い付けの基準に達したことに伴う形式的な手続きであった。

ダート氏が現在Evolutionの買収を望んでいないことはすでに明らかになっている。ストックホルム証券取引所に上場する同iゲーミングサプライヤーの取締役会は、すでに株主に対して買収提案の拒否を推奨している。

提案価格は8月12日時点のEvolutionの終値に対して5.7%のディスカウントとなっており、当時から株主が拒否する公算が大きかった。

その後Evolutionの株価が同日から21%という大幅な上昇を見せているため、提案価格と実際の株価との乖離は広がるばかりとなっている。

ダート氏の提案に対する判断が今日に迫る

Evolutionの株主による買収承認の期限は本日(9月15日)である。

もっとも、来週中に発表されるとみられるダート氏の買収提案の拒否は、同投資家にとって大きな懸念材料とはならない。

前述の通り、同氏には同社を買収する意思が乏しく、仮に否決された場合でも、時価総額135億ポンド(約2.8兆円)を誇るギャンブル業界有数の上場企業である同社の株式大部分を保有し続けることとなる。

より大きな課題の存在

これによりEvolutionは世界第3位の上場ギャンブル企業となり、評価額129億5000万ポンド(約2.7兆円)のFlutter Entertainmentを上回る。Flutterもまた、ダート氏の投資先として広く知られている企業の1つだ。

Evolutionの投票が本日行われる一方、ケイマン諸島出身の同資産家の多様なギャンブル投資ポートフォリオにおいて、より大きな悩みの種となっているのはFlutterの方かもしれない。

ダート氏は過去1ヶ月近くFlutter株に手を付けていない。同社に対する支配力はすでに30%を超えており、その支配力の約12%がトータル・リターン・スワップを介したものであるため、義務的な買収提案の適用除外となっているにとどまる。

しかし、Flutterの株価が過去12ヶ月間にわたりニューヨーク証券取引所で急落しているため、スワップを介したその12%の保有分がダート氏の足かせとなる可能性がある。

同社は大きく報じられている株価暴落の真っ只中にあり、過去1年間で株価は63.8%の下落を記録している。

ダート氏は2024年にかけてFlutterとEvolutionに金銭的な利害関係を持った。Flutterの株価は同年初頭から66ドル(約1万200円)以上下落している。

同投資家は2028年3月のスワップ期限に株価の下落による損失リスクを抱えているため、一向に訪れる気配のないFlutter株の回復に望みを託している状況である。

とはいえ、同氏の実績は軽視できるものではなく、これまで数々の投資を成功させ、近年ではタバコ業界でも成果を上げている人物の意見を早々に切り捨てるべきではない。

最近DraftKings株の5.8%を取得した動きは、ギャンブルセクターにおけるダート氏の確信をさらに強めるものとなり、業界の主要上場企業への信頼を維持し続けている。

DraftKingsへの投資を通じてiゲーミング関連の投資を3つに広げた同氏が、計画を180度転換する見込みは薄い。