カジノ・グラン・ロス・アンヘレスの返上要請により、かつて地域を代表したカジノグループであるエンジョイは、チリ国内での保有施設が1箇所のみとなる見通しである。大幅に縮小した事業によるコスト削減が進み、将来に向けて規制されたオンライン市場への視線がますます強まっている。

エンジョイSAは、カジノ・グラン・ロス・アンヘレスの営業許可返上をカジノ管理委員会に求めた。予定されていた2038年の満了期限を約12年も前倒しするものであり、委員会の審議会で承認されれば、同社が国内で運営するカジノはエンジョイ・『サンアントニオ』の1箇所のみとなる。なお、サンアントニオ自体も2019年以降で来場者数が61%減少している。

4カ国10カ所のカジノから1カ所へ

1975年にマルティネス一族によって創業され、現在は元債権者らが経営権を掌握するエンジョイは、かつてチリ、アルゼンチン、ウルグアイ、コロンビアの4カ国で10カ所のカジノを運営していた。パンデミック期の閉鎖を契機とした第1陣と、2024年1月からの第2陣という2度の会社更生手続きにより、事業ポートフォリオは分断された。国際債権団がプンタ・デル・エステ、コキンボ、プコン、カストロの各施設を取得した一方、カジノス・デ・チリとして組織再編された国内債権団がコキンボ、ビニャ・デル・マール、プコンを引き継いだ。ただし、この3施設はいずれも2025年までに国へ返上されている。リンコナダ・カジノの同グループへの引き渡し計画は、自由競争防衛Tribunal de Defensa de la Libre Competenciaによるエンジョイ、マリーナ・デル・ソル、ドリームスに対する現在進行形の談合調査の結果が出るまで保留となっている。

ロス・アンヘレスが標的となった背景

ロス・アンヘレスとサンアントニオは、エンジョイの事業の中で群を抜いて規模が小さい。前年同期比で18.6%減少しており、ロス・アンヘレス単体で見ても、2019年1月から4月期の約44,000人から、今年の同期間には約22,000人へと来場者が落ち込んだ。47.9%の急減であり、近隣で営業する違法な店舗型カジノという特に厳しい地域環境によって悪化している。

こうした数値を踏まえると、今回の許可返上は経営破綻のシグナルというよりも責任ある判断として位置づけられた。業界オブザーバーの間では、この見方に疑問の声も上がっている。ロス・アンヘレスの確約された経済的拠出(約22,000UF)は、ビニャ・デル・マールなどの大型の利権に比べれば、それほど大きな負担ではないためだ。サンアントニオが最終的に同様の道をたどるかどうかは未定であるが、仮にそうなればエンジョイの手元にカジノが一切残らなくなり、同社の継続性に対する現実的な疑問が浮上する。また、2024年の談合事件をめぐって経済検察庁(Fiscalia Nacional Economica)が追及している約3,680万ドル(約57億8,600万円)の制裁金の行方や、同じ法的手続きに紐づく未決のリンコナダ、サンアントニオ、ロス・アンヘレスの許可をどう扱うかという問題も残る。この要素が、リンコナダの際と同様に、審議会が今回の返上を阻止する根拠となる可能性がある。

エンジョイの残存エネルギーの行方

エンジョイの将来は、物理的な拠点の再構築よりもオンライン賭博に大きく依存している。同社は、ライセンスを持つデジタル事業者と店舗型事業者が競争できる条件を整えるオンライン規制を一貫して求めており、現在の状況を長期的に持続可能ではないとみなした。

この移行に向けて動いているのはエンジョイだけではない。ライバルであるマリーナ・デル・ソルは、すでにチリの工業知的所有権庁(Inapi)に「マリーナベット」の商標登録を済ませている。係属中の賭博法案が議会を通過次第、オンライン事業を立ち上げる構えを見せている。そうした中、最高経営責任者(CEO)のアンドレア・ウォレテル率いるエンジョイは、同社が業務効率化計画と呼ぶ施策を実行した。10カ所のカジノでピーク時に5,000人を超えていた人員を約300人にまで削減し、サプライヤー契約の再交渉を進め、直近の決算では売上原価を19.2%、管理費を20%削減した。

同社が今後新たな利権入札に参加するかどうかは、内部でも結論が出ていない。関係者の説明によると、エンジョイのアプローチは、事業拡大や完全撤退のどちらか一方にあらかじめ固執するのではなく、各入札案件の価値を個別に評価するというものである。その一方で、入札への参加「は常に選択肢として残されている」ことが強調されている。