ボーナスの枯渇と期待値の上昇に伴い、ベッターが利用するアプリに対する満足度は低下の一途をたどっている。
米国の合法スポーツベッティング市場で80%以上、オンラインカジノ事業で半分のシェアを維持するDraftKingsとFanDuelであっても、American Customer Satisfaction Index(ACSI)が発表した調査によれば、製品に対する顧客満足度は平均的な水準まで後退した。
ACSIによれば、この問題は両社に限った話ではない。ユーザーはアプリの品質が1年前より向上していると認識しているにもかかわらず、ギャンブル体験全体に対する満足度は低下している。同レポートは、かつて顧客に惜しみなく提供されていたボーナスの削減と、高まる期待値がその主因であると指摘する。
レポートの抜粋は以下の通り。
顧客は各プラットフォームを1年前よりも高速で、機能が充実し、安全であると評価しているが、それでも満足度は低下した。期待値の上昇がサービスの提供スピードを上回っており、苦情の件数は横ばいであるにもかかわらず、対応の質は低下している。これは製品そのものよりも、問題解決のプロセスに課題があることを示唆している。
ACSIのDirector of Research Emeritusを務めるForrest Morgeson氏は、「コンテンツと技術は今年、業界全体で改善されたが、大半の分野で満足度は低下したか、ほとんど変化がなかった。優れた製品は今や最低条件であり、それだけでは状況を大きく動かすには至らない」と述べた。さらに同氏は、「満足度を左右するのは、体験全体を簡素化することである。アカウント数の削減、請求手続きの簡略化、サブスクリプション管理にかかる手間の軽減が求められている」と説く。
「サブスクリプション型のテレビ業界は、その点に気づいている。動画配信やスポーツベッティングの各社は、顧客が複雑さの解消を求めているにもかかわらず、機能の追加を続けた。この状況が変わらない限り、機能の多さが満足度の向上につながることはない」
ACSIは1994年にミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネスで設立された、国家経済指標および顧客分析プラットフォームである。年間約20万件のインタビューに基づき、40業界・400社以上の顧客満足度を測定している。
BetMGM、DraftKings、FanDuelが満足度ランキングで首位
昨年、スポーツベッティングおよびiゲーミングアプリで最も人気を二分したDraftKingsの支持率は、今年5%減の74%となった。FanDuelも3%減となり、同スコアまで低下した。この下落により、昨年から4%減となったBetMGMを含め、3社が顧客満足度で並ぶ結果となった。
スポーツベッティングとカジノアプリの両方を利用する層の満足度は78%であった一方、スポーツのみ(75%)、カジノのみ(70%)を利用する層の満足度はそれより低い結果を示した。両方を利用すると回答したユーザーの割合は、昨年の25%から29%へ増加している。スポーツブックのみのユーザーは43%を占め、依然として最大勢力となった。
ACSIの分析では、顧客の支持が伸び悩んでいる背景として、ギャンブル業界がかつてのような積極的な顧客獲得ボーナスを抑制していること、そして米国国内でスポーツベッティングを導入できる余地がほとんど残されていない事実を挙げている。2024年に合法化し2025年にサービスを開始したミズーリ州が直近の事例であり、2018年の連邦法(PASPA)無効化以降、初めて合法化州がゼロとなった。現在、米国の41の司法管轄区で合法的なスポーツベッティング市場が存在する。しかし、予測市場はCommodities Futures Trading Commissionの管轄下で全国的にサービスを提供する権利を主張し、法廷で争った。
ギャンブル業界は「長年かけて顧客を買っていた」
同レポートは、スポーツブックアプリの満足度が収束している現状について、「市場の成熟に伴い、プロモーションや顧客獲得への支出を削減しようとする業界全体の動きを反映し、2026年初頭にはプロモーション費用が最大20%減少した」と指摘する。「長年かけて顧客を買っていた業界が、今や定価での支払いを求めており、満足度がその差を如実に示している」
Optimoveで北米ゲーミング市場のセールスディレクターを務めるJeff Laniado氏は、Gambling Insiderに対し、期待値の変化は業界の自然な流れの一部であると語った。
「UberやLyft、DoorDashの黎明期を彷彿とさせる。当時は『補助金付きのベンチャー経済』などと呼ばれていた。2014年から2017年頃のニューヨークでは、Uberがほぼ無料で利用できるような感覚だった」とLaniado氏は説明する。
「ボーナスや割引を駆使し、各社は市場シェアを買うことに注力していた。とにかくデータベースを最大化し、収益化は後回しにするという戦略だった」
「それが彼らのアプローチであり、スポーツベッティングも特に特定の州において同様の軌跡をたどった。ニューヨーク州でCaesarsが3,000ドル(約48万円)の入金ボーナスを打ち出したのは有名だが、当然ながら現在は抑制されている。顧客はプロモーションやボーナスに慣れきってしまったのだろう。その一方で、上場企業は収益性を示し、株主に報告する義務を負っている」
ライト層は満足、ヘビー層は不満
興味深いことに、特定のベッター層における顧客満足度は、賭け金額と反比例する傾向を見せている。
自動車レースのベッターは、全米の賭け金総額に占める割合が極めて小さく、大半の州で「その他」に分類されるが、満足度は100点満点中82点と高い。一方で、NBA(76%)やNFL(77%)のベッターの満足度は、比較対象となった11競技の中で最低水準にあり、両市場がスポーツブックにとって最も収益性の高い柱であるという重要性と矛盾する結果となった。
レポートには「ランキングは賭け金額と逆行している。NFLが最大の賭け金を集める一方で、自動車レースや競馬は市場のニッチな隅を占めているに過ぎない」と記されている。
この記事にコメントする(1人1件まで)