連邦詐欺罪で有罪となりキャリアを失ったマサチューセッツ州の元議員が、80万米ドル(約1億2,000万円)超の年金の復活を裁判所に求めていると、ボストン・グローブ(The Boston Globe)が報じた。

  • 連邦詐欺罪での有罪判決後、元議員が年金復活を求める
  • ギャンブル、融資、虚偽の税申告に絡んだ選挙資金の流用
  • 犯罪が個人的行為か公的な不正行為かを裁判所が判断

デービッド・ナングル(David Nangle)氏(65)は、マサチューセッツ州議会で20年以上にわたりローウェル(Lowell)を代表した民主党員である。同氏は2021年9月、電信詐欺(wire fraud)、銀行詐欺、虚偽の納税申告書提出などの罪を認め、連邦刑務所で15カ月の刑を言い渡された。

検察は、同氏が選挙資金口座から7万米ドル(約1,050万円)超を流用し、賭けの損失のほか、ゴルフクラブ会費、カジノへ向かうレンタカー、恋人への花代などの私的支出を穴埋めしたと主張した。

年収は10万米ドル(約1,500万円)超だったが、ナングル氏はコネティカット州とニューハンプシャー州の複数のカジノに加え、マサチューセッツ州とロードアイランド州の施設で多額の賭けを重ねていたため、資金繰りに苦しんでいた。さらに、オンライン・ゲーミング・プラットフォームで数千件の賭けを行っていた。

検察はまた、同氏が銀行を欺いて約30万米ドル(約4,500万円)の融資を得たほか、数年間にわたり虚偽の納税申告を行ったと主張した。

崩壊した政治生命

ナングル氏は1999年からマサチューセッツ州議会の議員を務め、以前は州下院倫理委員会(State House Ethics Committee)委員長も務めた。服役により、同氏の政治生命は事実上終わりを迎えた。また、税金で賄われる年金も失い、同氏はその返還を求めている。

マサチューセッツ州法では、公務員は職務に関連する犯罪で有罪となった場合に年金を失いうる。このため、今回の裁判の争点は、ナングル氏の行為が選出公職者としての役割と結び付いていたかどうかにある。

先週マサチューセッツ州上級裁判所(Massachusetts Superior Court)に提出した上訴で、ナングル氏は、有罪判決は「性質上個人的なもの」であり、公人としての役割とは無関係だと主張している。また、年金を失えば「困窮する(destitute)」とも訴えている。

贖罪への道

これらの主張は1月、下級裁判所で退けられた。ローウェル地区裁判所(Lowell District Court)のパチンコ・デカプア・ジュニア(Pacinco DeCapua Jr.)判事は、ナングル氏が公的信頼を裏切ったと述べ、「関連時点で下院議員だったからこそ、選挙資金口座から違法に資金を引き出せる立場にあったのだ」と指摘した。

デカプア・ジュニア判事はまた、ナングル氏の困窮の主張にも異議を唱え、同氏が現在3つの仕事を抱えていると指摘した。その中には、反ギャンブルの擁護団体での勤務や、回復中の依存症患者への助言(メンタリング)が含まれている。

判事はこの取り組みを評価し、ナングル氏は「贖罪の道(road of redemption)」にあると述べた。ただし、同氏が「州下院議員としての称号を汚した」事実は変わらないとした。