マッチルーム・ホールディングスが、英国のゲーミング業界を取り巻く規制の不確実性を受け、ベッティング業界以外のスポンサー獲得に本格的に動いていることを明らかにした。

プロボクシングやダーツ興行のプロモーションで知られるマッチルーム・スポーツの持株会社である同社は、英Companies House(会社登記局)に提出した2025年6月30日期の最新財務書類の中でこの方針を示した。

エディ・ハーン氏が率いる同社のスポーツ事業は、マッチルーム・ボクシング、マッチルーム・マルチスポーツ、ワールド・スヌーカー、プロフェッショナル・ダーツ・コーポレーション(PDC)の各事業領域で複数のベッティング・パートナーを擁する。ハーン氏はマッチルーム・スポーツとPDCの双方で会長を務める。

もっとも、英国のベッティング・パートナーシップを巡る規制環境はこのところ不透明感を帯びている。ギャンブル関連スポンサーシップを禁止する重大な法的措置が具体化しているわけではないが、2020〜2023年のギャンブル法レビューを中心に圧力は近年高まり続けている。

マッチルームは Companies House 提出書類で次のように述べている。「ギャンブル法制の変更は、ベッティング・ゲーミング業界各社が当グループの各イベントでブランドを活用する能力に影響を及ぼし得る」「役員会は、当グループのスポンサー構成を同業界から多様化させることに取り組んでいる」

長年のベッティング・パートナー

ボクシング、ダーツ、スヌーカーの主要興行のプロモーターとして、マッチルームはベッティング各社からのマーケティング・商業面での関心を集めてきた。

アンソニー・ジョシュア選手らを擁する世界ヘビー級タイトル戦のような大型興行や、世界ダーツ選手権(WDC)およびワールド・スヌーカー・ツアー(WST)のような毎年恒例の大会は、ブックメーカーが取り込みたい広範な視聴者層とリーチを有する。

マッチルーム・ボクシングは英大手 Betfred やアンティグアを拠点とする .com ブランドの Betonline とパートナーシップを結ぶ。evoke(旧888)による買収前の William Hill もかつてのパートナーだった。

パートナーの多くは PDC に集中している。Flutter Entertainment 傘下の Paddy Power が WDC のスポンサーを務め、MGMリゾーツの BetMGM がプレミアリーグ・ダーツのパートナーだ。

Betfred はワールド・マッチプレイのスポンサーも務め、BoyleSports はワールド・グランプリ、Entain 傘下の Ladbrokes は UK オープンとプレイヤーズ・チャンピオンシップ・ファイナルズの両方、BetVictor はワールドカップ・オブ・ダーツのスポンサーだ。

ベッティングとの提携はスヌーカー事業にも及ぶ。Yolo Group の Sportsbet.io はモスコニ・カップと WST の主要パートナーを務め、Midnite も WST のパートナーに名を連ねる。

これらのスポンサーシップはマッチルームの2025年の業績に大きく寄与したとみられる。

同社の2025年6月30日期の税引後利益は4,400万ポンド(約82億円)で、内訳はダーツ事業が1,610万ポンド(約30億円)、ボクシング事業が990万ポンド(約18億円)、マルチスポーツ部門が250万ポンド(約4億6,000万円)、スヌーカー事業が130万ポンド(約2億4,000万円)、メディア・配信・制作事業が200万ポンド(約3億7,000万円)。

ベッティング・パートナーに代わる相手が誰になるかは不透明だ。今季末でユニフォーム前面のベッティング・スポンサー表示を廃止するプレミアリーグのクラブが、予測市場プラットフォームや金融取引業者と契約する可能性があるとの観測もある。

マッチルームも同様の道を取り得るが、予測市場のカナダや米国に比べ英国での露出ははるかに限られるため、確実視はできない。

いずれにせよ、規制の不確実性でベッティング・パートナーが離脱した場合、または Entain、evoke、Flutter が既に進めているように、英国の増税を受けてベッティング各社がスポンサーシップ予算を削減する方向に動いた場合、同社の商業収入には大きな穴があくことになる。