要点
- エースと8は常にスプリットする。これは、ほぼすべての一般的なルールセットにおける正しいペア戦略の骨格である。
- 5と10は決してスプリットしない。5・5は通常、強いダブルダウンまたはヒットの手であり、10・10はすでに20点である。
- DASは境界線上の判断を変える。スプリット後のダブル(Double After Split)が許されると、2・3・4・6などの「迷うペア」が有利なスプリットに変わる場合がある。
- 卓のルールは戦略の一部である。リスプリット制限、エースのスプリット制限、H17とS17の違いが正解を左右する。
- スプリットは第一歩にすぎない。分割した各手を適切にプレイする必要があり、特にダブルの機会を逃さないことが重要である。
ブラックジャックのスプリットは単純な動作に見える。同ランクのペアを配られ、追加の賭けを置き、2手に分けるだけである。ただし、正しい場面で行うか否かで、ゲームを引き締める最速の手段にも、価値を手放す最速の手段にもなりうる。
賢くプレイすることが目的ならば、これは「運に賭けるか」の判断ではない。基本戦略である。基本戦略の出発点は1つの前提にある。卓の周囲で最も声の大きい意見ではなく、目の前のルールに対して数学的に最良の手を選ぶことである。
「筆者の経験では、ほぼすべての悪いスプリットはカードのせいではない。卓のルールを無視して、そのゲームに合わないチャートを使う時に起きる」——Victor H. Royer
ブラックジャックにおけるスプリットとは
最初の2枚がペアである場合に、2つの別々の手に分割することを指す。スプリットには元の賭けと同額の2つ目の賭けが必要で、ディーラーが各手に追加カードを配る。
基本戦略上、エースと8は常に分割、5と10は決して分割しない。他のペアは、ディーラーのアップカードとDASなど卓のルールに応じて判断する。
例——8・8を配られた場合。ハード16としてプレイする代わりに、8と8の2手に分け、それぞれで良い合計点を作り直す機会を得る。
スプリット対象となる「ペア」とは
多くの台で、2・2からA・Aまでの同ランクのカード、クイーン・クイーンなど絵札同士もスプリット可能である。
よく落とし穴となるのが10点札の扱いである。K・QやJ・10のように、10点であれば異なるランクでもスプリットを許可するゲームがある。多くのゲームは厳密な同ランク一致(10・10のみ、K・Kのみなど)を要求する。卓の表示またはオンラインゲームの情報欄で必ず確認するべきである。
スプリットの基本ルール
スプリットの判断は、分割後に何が起きるかを規定するルールを理解して初めて意味を持つ。
スプリットは最初の2枚でのみ可能
最初の2枚構成の手でのみスプリットできる。ヒット、スタンド、ダブルを行うと選択肢は消える。
元の賭けと同額が必要
スプリットには常に元の賭けと同額の2つ目の賭けが必要である。元が25ドルなら追加25ドルを要する。
リスプリットは一般的だが制限がある
多くの卓で、分割した手に同ランクを引いた場合にリスプリットが許容される。合計3〜4手までが一般的な上限である。エースの扱いは別枠の卓もある。
エースのスプリットには制限が多い
多くのゲームで、分割したエースは「1枚のみ配って終了」扱いとなる。各エースに追加カードを1枚のみ配り、その後はスタンドするしかない。エースのリスプリットを禁止する卓も多い。
スプリット後の21は通常ナチュラル扱いにならない
エースをスプリットして10点札を引いた場合、合計21点となるが、多くのカジノでは通常の21点として等倍配当とし、ナチュラル・ブラックジャックの上乗せ配当は適用しない。
DAS——スプリット戦略を最も左右するルール
スプリット後のダブル(DAS)とは、スプリットで生まれた手でダブルダウンが可能な規則である。スプリット後の手は強いダブル対象の合計点になる場面が多く、これが重要となる。
例——8をスプリットし、片方に3が来て合計11となった場合。DAS卓ではこの11でダブルするのが最善となる場面が多い。
DASが許されない場合、境界線上のスプリットの魅力は下がる。戦略チャートがルール前提ごとに作られているのはこのためであり、スプリットはルールの食い違いが最も大きく損失を生む領域の1つである。
「筆者の見解では、DASはプレイヤーが最も見落とす小さな規則である。DAS可否を把握していなければ、どのスプリットチャートを使うべきか本当には分かっていないことになる」——Victor H. Royer
スプリットすべき場面
ここは「カードをプレイする」ことと「ブラックジャックを正しくプレイする」ことを分ける判断層である。
常にエースをスプリットする
A・Aを1手で扱うと、合計は2または12で弱い。スプリットすれば、ゲーム最強のカードから始まる2手が得られる。エースのスプリットには一般的な制限があっても、スプリットがほぼ常に最善である。
常に8をスプリットする
8・8はハード16で、ブラックジャックで最悪の合計点の1つである。スプリットすれば、1つの悪い状況を、まだ競争力ある合計点を作れる2手に変えられる。
ディーラーが10の場合でも、基本戦略上はスプリットが正解となる場面が多い。サレンダー可の卓ではサレンダーが上回ることもある。ただし多くのプレイヤーはサレンダーを使えないため、スプリットが標準の正解である。
相性に応じて9をスプリットする
9・9は合計18で一見強いが、常に価値最大化の選択ではない。ディーラーが弱いカードを示している局面では、スタンドよりスプリットが勝る場合がある。それぞれが劣勢のディーラーに勝てる2手を作れるためである。
目安——ディーラーが2〜6、または8・9ならスプリット。7、10、Aならスタンドする。
7はディーラー2〜7でスプリット
7・7はディーラーが2〜7でスプリットが一般的。8、9、10、Aでは通常14としてヒットする。
6、4、3、2は選択的に——DASに注意
これらのペアはルール依存性が最も大きい。
- 6・6はディーラー2〜6でスプリット。DAS下で特に有利。
- 4・4はディーラー5〜6に限ってスプリット。DASが原則必須。
- 2・2と3・3は、DAS下ではディーラー4〜7でスプリット。DASなしでは適用範囲が狭まる。
判断を揃える最も簡便な方法は、ルールに合致したチャートを使い、即興で崩さないことである。
スプリットしない方がよい場面
分割可能だからといって、分割すべきとは限らない。
5は決してスプリットしない
5・5はハード10で、ブラックジャックで最良の出発点の1つである。相性の良い局面ではダブルダウンの対象となることが多い。スプリットは強い手を2つの弱い手に変える行為である。
10は決してスプリットしない
10・10は20点。20でスタンドするのがほぼ常に最善である。アドバンテージプレイヤーが稀なカウンティング状況で10を分割する場面はあるが、通常のプレイヤーが通常の卓でとる選択ではない。
「筆者の経験では、通常のカジノゲームで10をスプリットするプレイヤーは、高度戦略ではなく、単に行動量を追っているだけであることがほとんどである」——Victor H. Royer
9は7、10、Aに対してスプリットしない
ディーラー7なら、18は維持する価値がある。10またはAなら、強いアップカードに対して9からの2手を作るより、スタンドの方が期待値が高い。
スプリット判断チャート
- A・A——常にスプリット(全アップカード)
- 10・10——決してスプリットしない
- 9・9——2〜6、8、9でスプリット(7、10、Aではスタンド)
- 8・8——常にスプリット(全アップカード)
- 7・7——2〜7でスプリット(8、9、10、Aではヒット)
- 6・6——2〜6でスプリット(DAS卓で特に有効)
- 5・5——決してスプリットしない(相性が良ければダブルが多い)
- 4・4——5、6のみでスプリット(原則DAS必須)
- 3・3——4〜7でスプリット(DASなしでは適用範囲が狭まる)
- 2・2——4〜7でスプリット(DASなしでは適用範囲が狭まる)
チャートの前提
- 標準的な複数デッキのブラックジャック
- ディーラーはソフト17でスタンド(S17)
- スプリット後のダブル可(DAS)
- リスプリット可(エースは通常制限あり)
卓のルールが異なる場合、特に小ペアの判断が変わりうる。
卓のルールがスプリット戦略に及ぼす影響
強いゲームを展開したいなら、ルールは細字の但し書きではなく戦略の一部として扱う。
スプリットに影響する主なルール要素は以下である。
- ディーラーがソフト17でヒット(H17)か、スタンド(S17)か
- DAS可否
- リスプリットで作れる手の合計数
- エースのリスプリット可否
- 10点札スプリットが価値基準か、ランク一致必須か
- ブラックジャック配当が3対2か6対5か——スプリット判断自体は通常変えないが、卓全体の価値に影響する
よくあるスプリットの失敗
ほとんどのプレイヤーは、スプリットをしないから資金を失うのではない。間違ったスプリットや、分割後のプレイ誤りで失うのである。
代表的な漏出源——
- チャートを参照せずに自動的にスプリットする
- DAS卓用のチャートをDAS禁止卓で使う
- スプリットは正しく行ったが、分割後の手でダブル機会を逃す
- スプリットは追加資金を賭けるためエクスポージャーが増える点を忘れる
よくある質問
ブラックジャックでスプリットできる条件は。最初の2枚であり、かつ同ランクのペアである場合に限る。一部の卓では10点札同士ならランクが異なっても許容される。
スプリットは複数回できるか。通常は可能で、合計3〜4手までが一般的である。エースには厳しめの制限が設けられることが多い。
スプリット後にダブルダウンできるか。卓がDASを許可している場合に限る。DASなしでは小ペアのスプリット判断が変わる。
分割したエースにヒットできるか。通常できない。標準ルールでは各エースに1枚のみ配ってスタンドとなる。
スプリット後の21はナチュラル・ブラックジャックか。通常はそうではない。21として扱うが、ブラックジャックの上乗せ配当ではなく等倍配当となるのが一般的である。
総括
ブラックジャックのスプリット判断を最も簡潔に整理すれば以下である。
- エースと8はスプリットする
- 5と10はスプリットしない
- 残りはDASとディーラーのアップカードに従って判断する