大統領の発言は、機密情報を利用して利益を得たとして兵士が連邦起訴された後に出たものだ。

トランプ政権は、予測市場の拡大や、同市場が契約を提供できるイベントの種類の拡大を積極的に支持している可能性がある。しかし、それはトランプ大統領自身が同市場の支持者だと考えていることを意味しない。

トランプ氏は木曜日午後、ホワイトハウスの執務室であるオーバル・オフィス(Oval Office)で開いた記者会見の中で、これらの市場について言及した。記者が、大統領に対し、特殊部隊所属の米陸軍軍曹ガノン・ケン・バン・ダイク(Gannon Ken Van Dyk)の逮捕について質問した。連邦当局は、バン・ダイク氏が機密情報を用いてPolymarketで、ベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の拘束に向けた軍事作戦の契約を購入したと主張している。バン・ダイク氏は、その情報にアクセスできたのは、同作戦の計画と実行に関与していたためだという。

米商品先物取引委員会(CFTC)は、バン・ダイク氏がハンドル名「Burdensome-Mix」の名義で、マドゥロ大統領が1月31日までに退陣するとの予測契約を43万6,000件超購入したと述べた。司法省当局者によれば、同軍曹はこれらの契約取得に3万3,034ドル(約530万円)を支出したという。

バン・ダイク氏は12月30日から1月2日の間にこれらの購入を行い、投資は40万4,000ドル(約6,430万円)超の利益を生んだ。検察は、同氏がマドゥロ関連市場での不審な取引が軍事行動後数日で報じられた後、Polymarket口座の削除を試み、勝ち金を自分名義ではない暗号資産取引所口座へ移したと主張している。

自らの政権方針に逆行するのか

トランプ氏は当初、冗談めかして逮捕された兵士を故ピート・ローズ(Pete Rose)氏に例えた。ローズ氏は元シンシナティ・レッズ(Cincinnati Reds)の選手兼監督で、1989年に自身のチームの勝利に賭けたと判断されたため、メジャーリーグ・ベースボール(MLB)から永久追放された。

イランとの継続的な対立を含む軍事行動をめぐってインサイダー取引が行われる可能性について懸念しているかと問われたトランプ氏は、懸念していると答えた。

「残念ながら、世界全体がある種のカジノのようになってしまった」と、30年前にインディアナ州とニュージャージー州でカジノを所有していたトランプ氏は述べた。「世界中、ヨーロッパを含めて、どこでもこうした賭け行為を行っている。私はこれまであまり賛成ではなかった。概念的にも好きではないが、現実は現実だ。いや、私はあの手のものはいっさい好まないが、彼らはさまざまなサイトを持っている。予測市場もある。狂った世界だ」。

大統領はPolymarketやKalshiのような予測市場を快く思っていないかもしれないが、息子のドナルド・トランプ・ジュニア氏は両社と関わっており、戦略顧問を務めている。また、大統領が過半数の株式を保有するソーシャルメディア・プラットフォームのトゥルース・ソーシャル(Truth Social)も、独自の暗号資産(仮想通貨)連動型予測市場を立ち上げる計画を持っている。

さらに、トランプ氏が指名した米商品先物取引委員会(CFTC)委員長マイク・セリグ氏(Mike Selig)は、複数の州が予測市場からスポーツイベントや政治に関する契約の提供を禁止しようとしている中、ソーシャルメディアやインタビューで両取引所の支持を表明してきた。米司法省(Justice Department)の当局者も、予測市場が各州で提供できる内容を禁止または制限しようとする州に対し、訴訟を提起している。

先例、しかし最後ではない可能性

木曜日のバン・ダイク容疑者逮捕の発表は、連邦政府が予測市場を通じたインサイダー取引で利益を得た個人に対して法的措置を追及するのは初めてであることを示している。ただし前述のとおり、米国とイランの停戦など、軍事行動に関するインサイダー取引への懸念は高まっている。

政治イベント、たとえば選挙や候補者発表における同様の取引についても懸念がある。運営事業者は、候補者および候補者・選挙戦に関係する者の参加を防ぐとする措置を講じている。火曜日には、Kalshiが3人の候補者に対する罰金およびその他の措置を発表した。

トランプ大統領が予測市場について即興で発言したのか、それとも発言が実際の考えを反映しているのかは、誰にも推し量りようがない。ただし、予測市場の台頭と、最近の奇妙な取引パターンに関する報道を踏まえれば、こうした疑問は今後も続くとみられる。