香港の立法関係者は、2026年9月開始予定のバスケットボール賭博の解禁を延期した。

香港政府は唐突な方針転換として、9月に予定していた合法バスケットボール賭博の開始を見送った。理由は、暗号資産ベースの予測市場(prediction markets)の台頭に伴う不確実性の高まりである。

これらのオンラインプラットフォームは、スポーツの試合、金融市場、さらには軍事行動など将来の事象に対して賭けることを可能にする。KalshiやPolymarketといった事業者の急成長を受け、予測市場の本質を巡る議論が起きている。立法関係者や規制当局は、イベント契約(event contracts)が違法賭博に該当するか否かを問題視している。

香港では2025年9月、闇市場の賭博を抑え込む狙いでバスケットボール賭博を合法化する改正法が可決された。2023年時点での違法市場の取扱高は推定で約340億香港ドル(約43億米ドル、約6,450億円)に達していた。

香港民政・青年事務局のアリス・マック(Alice Mak)局長は、新法の可決により所定の期日までに免許を発給する義務が当局に生じるわけではないと説明した。

マック氏は次のように述べた。「責任ある政府として、公益を守るためには毅然とした判断を下さなければならない。法案が昨年可決されたからという理由だけで、他の外部要因を無視して機械的に免許を発給するのは無責任だ」

北京への配慮か

香港のバスケットボール賭博の運営主体として想定されていた香港ジョッキークラブ(Hong Kong Jockey Club)の会員は、月曜夜まで今回の延期を把握していなかった。ただしクラブ経営陣は事前に承知していたと、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは報じている。同紙が引用したクラブ関係者は「予測市場が出てきてからかなり経つ。なぜもっと早く想定できなかったのか。今回の判断は政府の制御外にある事情に基づくものではないか」と述べた。

現地メディアは、マカオと同様に中国の特別行政区(SAR)である香港が、賭博への監督を厳格に敷く中央政府の意向に反することを避けた、との見方を伝えている。習近平国家主席の下で北京はマネーロンダリングをはじめとする犯罪との関連を指摘しつつ、越境賭博の取り締まりを強化している。

香港政府は14日のメールで、予測市場の取引高が2025年に急増し、前年比200%増の640億米ドル(約9.6兆円)でピークに達したと指摘した。「こうした最新動向を踏まえれば、責任ある政府として、これら新興のモデルとプラットフォームの実態をより詳しく調査する必要がある」と記した。

香港立法会のエイドリアン・ペドロ・ホー議員は延期を支持し、技術の変化を踏まえた慎重な措置だと評価した。「バスケットボール賭博はまだ始まっていない。違法賭博を助長しかねないものを新たに導入する理由はない」と述べた。

バスケットボール賭博の合法的な開始時期については、いまだ何の発表もなされていない。